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新ヨーロッパ通信

【新ヨーロッパ通信】ベルリン大停電

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 今年1月3日から約5日間にわたり、ドイツの首都ベルリンで広域停電が起きた。原因は、南西部のガス火力発電所の近くで高圧送電線3本と中圧送電線10本が放火されて、損傷したからだ。五つの地区の、約4万5400世帯の家庭、約2200社の企業で停電が起きた。
 この時期ベルリンは寒波に襲われており、夜間の気温はマイナス3度から4度前後だったが、一部の家庭では電力だけではなく、暖房の供給も停止した。このためベルリン市役所は、お年寄りや病人を他の地区の介護施設や病院に移送するとともに、暖房が入っている体育館に簡易ベッドを置いて避難所を開設した。15カ所の学校や託児所が閉鎖され、200カ所を超える医療施設が使えなくなった。
 ベルリン市のカイ・ヴェーグナー市長は、1月4日に災害救助法に基づく「大規模災害状況」を発令し、1月5日に連邦軍の出動を要請した。
 ベルリンの配電事業者は復旧工事を進めるとともに、他の州から多数の非常用ディーゼル発電機をかき集めて、約100時間後に全ての家庭・企業への通電を再開させた。これは第二次世界大戦後にベルリンで起きた停電としては、最も長かった。ドイツは平均停電時間が世界で最も短い国の一つである。連邦系統規制庁によると、2024年の市民一人当たりの平均停電時間は11.7分だった。
 ベルリン市内の約3万5000キロメートルの送配電系統のうち、99%は地中に埋設されているが、今回放火された送電線は運河をまたぐ架橋の上に設置されていたため、露出していた。
 停電発生後、火山グループと名乗る極左集団が「二酸化炭素を排出する天然ガス火力発電所を停止させるために放火を実行した」という声明を発表した。
 火山グループは11年からベルリンで13回にわたって電力インフラなどへのサボタージュを行ってきた。ただし、捜査当局は容疑者を一人も逮捕していない他、構成員の数も把握していない。
 ちなみに、ベルリンでは、火山グループ以外の極左集団が、電力インフラに対する攻撃を行ったケースもある。昨年9月9日に高圧線が放火され、約5万世帯の家庭と、約3000社の企業が停電の影響を受けた。犯行声明を出したのは「数人のアナーキスト(無政府主義者)たち」と名乗るグループだった。
 ドイツ政府は、昨年9月からの4カ月間に2回、ベルリンで広域停電が起きたことを重く見て、極左勢力に対する捜査を強化する方針を明らかにした。背後にロシアなど外国がいるかどうかは、わかっていない。
 (文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
 筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92

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