ページトップ

Column コラム

ホーム コラム うず コロチカ
うず

コロチカ

SHARE

Twitter

 春になって、就活が活気立ってきた。ここ数年の自粛ムードからの景気回復の期待もあってか採用拡大の企業もある。一方で、大学生はなかなか学業以外に打ち込む機会がなく、「大学時代に力をいれたこと」をたずねられると、困るだろう。いわゆるガクチカ質問である。大学生活はほとんど学校へ行かずリモートワークでした、では答えにしづらくどうしたものか。しかし、あわてる必要はない。
 企業の新卒採用を担当していたコロナ禍前、エントリーシートに学生が記載してくるガクチカは、およそ9割がサークルかアルバイトだった。採用担当者としては、サークルやアルバイトでの体験は目新しくなく、むしろ自分自身の経験や、学業での学びを深く追求している学生に会いたいと思ったものだ。
 2020年の春、筆者も自宅の居室の出窓をデスクにして、外の景色を眺めながらPCに向かっていた。外には小学校が見え、桜の花が子どものいない空っぽの校庭で寂しく見えた。毎日繰り返すオンライン会議で、指示命令がわかりにくいとか、会議が多くなりすぎだ、とか、コミュニケーションのぎこちなさに気づき、仕事のやり方を工夫してチームで乗り越えた。
 それから3年。子どもたちの姿は校庭に戻り、桜の開花ももうすぐだ。振り返ると自分なりに挑戦してきたことの数々が思い浮かぶ。今やインターネットで検索すれば、就活で使えるガクチカの書き方や自己ピーアールなど、いつでも容易に手に入る。しかし、誰でも手に入るということは皆が同じような回答を準備してくることにほかならず、個性は沈んでしまう。ぜひとも大学で過ごした毎日を振り返って自分の感性で自分らしさを示すユニークな体験やストーリーを見つけてほしい。たとえば、コロナ禍で力を入れたこと、「コロチカ」を見つければよい。
 あなたのコロチカは何でしたか?(こゆ美)

SHARE

Twitter
新着コラム