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ドイツは中国依存度を減らせるか?(上)

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 ドイツのショルツ政権は、6月14日に国家安全保障戦略を公表したのに続き、7月13日に中国戦略文書を公表した。ショルツ政権はこの中で、「中国はパートナー、競争相手、そしてシステムをめぐる競争でのライバルだ。しかし、ここ数年間には、競争相手・ライバルとしての性格を強めている」と指摘した。
 ドイツが中国の政策に批判的な態度を取っていることは、戦略文書の23ページにはっきり表れている。ショルツ政権は、「中国は攻撃的な形で、アジアでの地域的な優位性を確保しようとしている他、われわれ欧州人の利益や価値と矛盾する行動を取っている。そのために、地域的な安定と国際的な安全保障が脅かされている。中国は、政治的目標を達成するために、経済力を利用している」と批判した。
 ドイツ政府は、中国の人権状況に苦言を呈した。「中国共産党の影響力拡大とともに市民権は後退し、言論や報道の自由は制限されている。少数民族や宗教共同体の文化的アイデンティティーも圧迫されている」と指摘。その上で、「中国は新疆ウイグル自治区とチベットで人権を侵害している他、香港では国際的合意に反して自治権や市民の自由を抑圧している」と批判した。ショルツ政権は、「われわれは今後も中国での人権に関する状況を改善し、言論や発言の自由を回復するために努力する」と明記した。
 さらに中国戦略文書は、「中国は、ルールに基づく国際秩序を変更しようとしている。中国はその経済力を、政治的目標を達成するために利用している。他国への中国経済への依存度を高めることによって、中国の意図を受け入れさせようとするのだ」と批判した。
 また、同文書は「台湾海峡の安全保障はアジアだけの問題ではなく、ドイツや欧州の安全保障にも影響を与える。現状を変更する場合には、全ての関係者の合意に基づき、平和的手段によってのみ行われるべきだ。軍事的なエスカレーションは、ドイツと欧州の権益にも影響を与える」とくぎを刺した。また、ショルツ政権は、中国がプーチン政権のウクライナ侵攻を糾弾せず、逆にロシアとの関係を深めていることについても懸念を表明した。中国はプーチン政権がウクライナに侵攻する直前に、「ロシアとあらゆる領域で協力関係を深める」という共同声明を発表していた。
 ドイツは、中国がウクライナ戦争をめぐってロシアを陰で支援しているかどうかについて、警戒・監視を強めている。
 (つづく)
 (文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
 筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92

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