特集

Plug and Play Japan × 保険毎日新聞社 WebピッチセッションBatch4① ㈱IGSA

世界トップレベルのアクセラレーター/ベンチャーキャピタルであるPlug and Play Japanとのコラボレーション企画「紙上ピッチセッション」のWeb版。保険ビジネス関連のスタートアップ企業の代表者が、自社の商品・サービスを自らの言葉でアピールする。

㈱IGSA 代表取締役CEO 松島創一郎



【 推薦コメント by Plug and Play 】
認知症は、病院に行くときには既に症状が進行しており、予防目的の検査手段がないといった課題があります。そこで同社は、音声データから、健常者と認知症の中間にあたるグレーゾーンのMCI(軽度認知障害)という段階をスクリーニングできるAI技術の開発を進めています。音声データから認知症のスクリーニングを行うというユニークさに加え、東大・松尾研究所発のスタートアップとして、今後の活躍が期待されます。





――自己紹介を。

私は東京理科大学理工学部卒で、在学時に子ども向け教育事業を立ち上げ、3年間運営した後、事業譲渡しました。その後、東京大学松尾研究室および松尾研発スタートアップにて、企業との共同研究に従事しました。教育機関や医療機関とのアルゴリズム開発、プライム上場企業とのDXプロジェクト、大規模言語モデル(LLM)の開発や社会実装プロジェクト等でプロジェクトマネージャーを歴任した後、2022年8月にエッセンシャルな領域でのAI技術の広い社会実装を志し、当社を創業しました。

――事業に至るまでの道のりは。

会社設立当初も日本の介護領域の持続可能性という現在と同じ課題を見ていました。当時は「介護現場を効率化できないか」と考え、通所やホーム型、訪問介護事業所をいくつも回って現場を見ました。しかし、老老介護や動作を伴う業務の多さ、利益率の低さなどの問題があり、ソフトウェアでの効率化が難しいことを痛感しました。そこで発想を転換し、介護が必要な人を減らす"未病"の取り組みとして始めたのがToSCA事業です。高齢者の7人に2人(MCI含む)、要介護者の6割が発症している認知症という巨大な課題を未病改善で解決することを目指しています。

――提供する商品・サービスの概要や強みは。

ToSCAはスマホを使って自宅で簡単にできる認知機能検査です。MCIレベルの軽微な認知機能低下を、従来手法よりも精度高く検出できます。さらに、これまでの認知機能検査に存在した学習効果という課題を削減している点も特徴です。
当社が独自に開発した音声言語モデルをベースにしたAIアルゴリズムを用いており、発話内容などの言語的要素と、潜時・言い淀み・休止といった音響的要素を一つのモデルで扱うことで、より高い精度を実現しています。
また、従来の音声を活用した検査は、主にMCIの検出ができない神経心理検査を流用しているケースが多かったのに対し、当社では東京都健康長寿医療センター研究所の専門家チームと共同でMCI検出に最適化した神経心理検査を開発しました。

――保険会社とのシナジーについて。

付帯サービスとして契約者の脳の健康にコミットし、保険商材の魅力づけや新規顧客獲得につなげられます。中期的には定期的なスクリーニング検査や運動サービスとの連携により、契約者の健康寿命延伸や保険金支払額の抑制を期待できます。

――今後のビジネスの展望について。

運動療法を開発・提供する企業と順次連携を進めており、保険会社のサービス内で、検査実施後の運動療法サービス利用などにスムーズに接続できる体制を整えています。今後は連携する介入サービスをさらに増やすほか、ToSCA検査を活用した新たな介入手法の開発、英語や中国語での多言語展開を計画しています。さらに、AIモデルを継続的に学習し、検査項目数の削減や所要時間の短縮、被験者の精神的負担軽減を実施していきます。

――保険会社などへのメッセージがあれば。

MCI検出の精度と、スマホのみ・音声だけで実施できる優れたUXに自信があります。高齢者でも一人で実施でき、また結果をまず自分だけで確認できるため、精神的な負担も少ないです。付帯サービスとしての提供から新たな保険商材の開発まで、末永くご一緒させていただけパートナー企業となれますと幸いです。



https://igsa.co.jp/