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ホーム ニュースヘッドライン 2024年12月 損保協会 定例会見 業界の信頼回復への取り組みを説明 共同保険で新たな組成方式検討 テリトリー制見直しの方向示唆

損保協会 定例会見 業界の信頼回復への取り組みを説明 共同保険で新たな組成方式検討 テリトリー制見直しの方向示唆

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 損保協会の城田宏明協会長(東京海上日動社長)は12月19日、損保会館(東京都千代田区)で定例の記者会見を行った。会見では、会員会社4社の保険料の価格調整に対する公正取引委員会からの処分に対して陳謝した上で、協会長ステートメントの内容を発表し、記者からの質問に回答した。損保業界の信頼回復に向け、協会がオブザーバーとして参加した金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」の議論の内容について報告し、健全な競争環境の実現や保険代理店・募集人の業務品質の向上などを推進するために検討中の共同保険の新たな組成方式や、「代理店業務品質に関する評価指針」(案)などについても説明した。また記者からの質問に対し、代理店が顧客に特定の損保の商品を推奨する「テリトリー制」について、今後は業界として廃止していく方針を明らかにした。(2~3面に城田協会長ステートメント全文を掲載)

 会見の冒頭では、10月に公正取引委員会から会員4社に対し、保険料調整行為事案に関する独占禁止法に基づいた排除措置命令・課徴金納付命令が発せられたこと、また独占禁止法の順守を周知徹底するよう要請があったことを報告し、協会として重く受け止めていると謝罪した。また一部の会員会社に確認されている情報漏えい問題に関しても、実態調査を行い、再発防止の徹底に取り組んでいると述べた。
 続いて、同協会が最優先課題に掲げて取り組んできた、顧客および社会からの信頼回復に向けた取り組みとして、①健全な競争環境の実現②保険代理店・募集人の業務品質の向上③コンプライアンス・ガバナンスのさらなる強化④信頼回復に係る各種課題への取り組み⑤信頼回復に係る取り組みのフォローアップ―の五つを説明した。
 ①健全な競争環境の実現については、新たな組成方式の共同保険の仕組みを検討していることを明らかにした。共同保険には、低い保険料を提示した幹事社に他の保険会社が保険料を合わせるなどのビジネス慣行の課題が指摘されている。これらを解決するため、シンジケートローンを参考にした「アレンジャー方式」と、各社の保険料を統一せずに共同保険を組成する「ディファレンシャル方式」の二つについて検討を進めているとした。
 ②保険代理店・募集人の業務品質の向上では、同協会内の「代理店業務品質評価に関する第三者検討会」における、代理店と募集人の業務品質を第三者が適正に評価する仕組みの検討を報告した。また、これらをもとにとりまとめる「代理店業務品質に関する評価指針」(案)について12月20日から意見公募を開始し、2024年度中の同評価指針の完成を目指すとした。さらに損保一般試験の高度・厳格化や継続教育制度の実現などによる募集人教育・試験制度の拡充を説明した他、7月策定の代理店・募集人向けの募集コンプライアンスガイド追補版については、「顧客本位の業務運営の実現」や「推奨販売」などの項目を新設して今月中にリリース予定であることなどを発表した。 
 ③コンプライアンス・ガバナンスのさらなる強化に関しては、昨年度から定期開催している会員会社向けの独占禁止法コンプライアンス・セミナーについて、10月に今年度の開催を行ったと説明した。また同月には内部監査をテーマにした会員向けセミナーも開催したと報告し、今後は会員会社向けの個人情報保護等に係るコンプライアンス・セミナーを開催する予定だと述べた。
 ④信頼回復に係る各種課題への取り組みにおいては、顧客の損害保険に対する理解を促進するため、協会ホームページの改良やSNSを活用した情報発信を行い、情報発信を強化していると説明した。また損保総研に調査を委託した「諸外国における保険代理店・ブローカーに対する規制および企業保険の募集実態について」に言及し、規制を踏まえた態勢づくりなどの視点を、信頼回復に向けた各取り組みや課題の検討に生かしていくとした。
 ⑤信頼回復に係る取り組みのフォローアップについては、「損害保険金の支払いに関するガイドライン」「損害保険会社の独占禁止法順守のための指針」など六つのガイドラインを対象にした会員会社へのフォローアップを、11月に初めて実施したと報告した。今後も対象となるガイドラインの見直しを行いながら、活動を継続して業界全体の取り組みレベルの底上げを図っていきたいと述べた。
 この他、第10次中期基本計画に関する取り組みのうち、重点課題としている自然災害への対応力強化について説明した。阪神淡路大震災から30年の節目を迎える今年度は、特に地震保険の加入と理解促進においてさまざまな取り組みを実施し、1月13日に神戸で開催されるイベント「親子で学ぼう、地震への備え~阪神淡路大震災から30年。みんなで地震後、考えよう~」には、同協会長も参加する予定だと述べた。
 最後に、協会長に就任してから6カ月がたち、信頼回復に向けた取り組みはいまだ道半ばだとした上で、「業界に根付いた旧来の慣行などの課題を解決するためには、さらなる努力が必要だと痛感している。会員各社が多様な意見に真摯に向き合いながら、業務運営の見直しを行うことが重要だ」と述べた。
 その後は、城田協会長が記者からの質問に回答した。金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」の報告書案で、乗合代理店の適切な比較推奨販売について、あらためて顧客の意向を尊重するべきと強調されていた点に関して、業界の商慣行との乖離(かいり)を問われると、「顧客の意向から離れたところで競争する、業界の悪しき慣行は改めなければいけない。テリトリー制の今後については、代理店の独自基準で推奨損保を選定することは認められないのではないかと考えている。比較推奨の詳細なルールは、今後見直される監督指針やパブリックコメントの内容を十分に踏まえた上で検討し、会員会社や代理店に周知していく」と答えた。
 現在検討中である「代理店業務品質に関する評価指針」(案)について問われると、「顧客本位の業務運営の観点から、評価基準は最低限必要な業務品質が確保されているか判定できるものを目指している。評価対象となる代理店の範囲は大規模代理店に限定せず、全ての代理店をリスクベースで抽出して評価を実施していく。詳細については、金融審議会で議論された大規模代理店の上乗せ規制などを踏まえて、今後も検討を深める必要がある」と述べた。

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