生保協会 新年賀詞交歓会 加藤大臣「成長型経済への移行促進に取組む」 資産運用立国実現に向けた政策を推進
生命保険協会は1月6日、経団連会館で新年賀詞交歓会を行い、会員各社代表・来賓が多数参集した。あいさつに立った永島英器協会長は、2024年も1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」や全国各地で発生した大雨など自然災害が相次いだ年だったと振り返った上で、被災地域の復興が1日も早く進むことを願うとともに、生命保険業界としても引き続き被災地に寄り添った対応を進めていくと述べた。次に、本年の同協会の取り組みとして、①顧客本位の業務運営の推進②国民一人ひとりの豊かな人生の実現③持続可能な社会の実現―の三つを軸に取り組みを進める方針を示した。また、来賓の加藤勝信財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融)があいさつし、成長型経済への移行促進に向けて引き続き取り組むと述べた。
加藤財務大臣のあいさつ要旨は以下の通り。
生命保険協会の皆さまには、日頃から国民の保険に対するニーズに的確に対応して、さまざまな金融サービスを提供していただいていることに、心から感謝を申し上げたい。
昨年を振り返ると、1月1日には能登半島地震、その後は大雨被害など日本各地でさまざまな災害が発生した。引き続き、被災地における生活や暮らし、そして経済の再建に向けて、政府はもとより官民あげた取り組みが求められている。金融機関の皆さまには、さまざまな形でこれまでも支援を頂戴しているが、今後ともそれぞれの地域における復興、そしてさらなる再生に向けた尽力を心からお願い申し上げたい。
足元の経済状況を見ると、GDPが600兆円、設備投資も100兆円、そして昨年の春闘では33年ぶりという高い水準の賃上げも実現し、まさに景気回復の兆しが見えてきた。これをしっかりとした足取りにしていくことが今まさに問われている。デフレからの脱却、そして、なんと言っても、国民の一人一人が、賃金や所得が上がってきているという実感を持っていただけるように、賃上げ等、投資が牽引する成長型経済への移行を進めるべく、引き続き全力で取り組んでいく。金融庁としても、こうした成長型経済への移行に金融面から貢献するため、貯蓄から投資への流れを着実なものとし、国民の資産形成を後押していく。また、資産運用立国の実現に向けた政策を推進する。家計に向けては、より多くの方に長期安定的な資産形成に取り組んでいただけるように、すでに多くの方に活用いただいているNISAの積極的な活用を促進するとともに、そのベースとして大事な金融経済教育の取り組みを推進していく。
次に、企業については、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けたコーポレートガバナンス改革を進めていく。また、資産運用業や年金や保険会社といったアセットオーナーの皆さまにおかれては、運用力の向上や体制の強化をさらに図っていただきたい。社会的課題の解決に向けた投融資、さらにはスタートアップに対する投資等を促進する。こうした中で、家計の資産形成を支える重要な仕事、重要な立場であると同時に、400兆円を超える機関投資家でもある皆さまとともに、互いに知恵を出し合いながら、資産運用立国の実現に向けて取り組んでいきたい。
世界規模のインフレ、また気候変動、少子高齢化、地政学的な混乱など、われわれを取り巻く環境は今大きく変化しようとしている。人生100年時代と言われる中で、こうした時代の転換点を生きる私たちにとって、今だけではなく、これからの将来、そしてその将来を担う将来世代、これを意識して対応していく必要がある。あらためて、保険商品の提供を通じて国民の生活の安定などに不可欠な経済的保障を提供するという重要な役割を担っていただいている皆さまに、心から感謝を申し上げたい。また今後も一層の取り組みをお願い申し上げる。
今年の干支は十干十二支で言えば「乙巳(きのとみ)」になるが、この年は、再生や変化を繰り返しながら柔軟に変化していく年と言われている。日本経済や社会を取り巻く大きな変化に柔軟に対応することで、成長の果実を分配し、さらなる成長へとつなげていく。生命保険業界の関連する皆さま方の取り組みが、こうした好循環をより加速させ、そして日本の発展につながっていくことに大いに期待している。
金融庁としても、こうした日本の発展を支えていただいている皆さまの積極的で挑戦的な取り組みを全力でサポートしていきたい。最後になりましたが、本日ご出席の皆さま方の今年1年のご多幸とご健勝をご祈念申し上げるとともに、生命保険業のますますの発展を祈念して、私のあいさつとさせていただきたい。
損保協会と損保総研が共催する2024年度ISJ(日本国際保険学校)一般コースのプログラムが、11月18日から12月4日の約2週間にわたり行われた。11月18日から22日までのオンライン研修の後、参加者が来日して学ぶ集合型研修を11月28日から12月4日まで実施し、集合型研修初日の11月28日には開講式、最終日の12月4日には修了式を、それぞれ東京都千代田区の損保会館で開催した。今回のプログラムには、東アジア11地域から27人が参加した。
第50回の節目となる同コースは、「損保業界に求められる業務品質と専門的知識・スキルの向上」がテーマとなった。
開講式では、主催者を代表して損保協会の大知久一専務理事があいさつし、24年元日の能登半島地震や、東南アジアの各地を襲った台風11号(ヤギ)などに触れ、自然災害の脅威が増しているとした上で、「より多くの人が防災・減災への取り組みと同時に、損保の機能や重要性を再認識するようになってきている。損保業界全体として、自然災害の脅威に対する役割がますます大きくなっている」と述べた。
続けて、今回のプログラムには、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)の見学が含まれているとし、「本施設の見学が、皆さまが防災・減災のための戦略について学ぶ機会につながることを期待している」と述べた。<
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