あいおいニッセイ同和損保 テレマ保険のデータ・ノウハウを活用 自動運転のODD設計支援開始 東京臨海副都心エリアでの計画から実施
あいおいニッセイ同和損保は昨年12月25日、自動運転移動サービスの実装を支援するため、同社が保有するテレマティクス自動車保険のデータ・ノウハウを活用した自動運転車両の走行ルート設定や自動運転データの分析など、自動運転車両のODD(注1)設計支援を2025年1月以降に開始すると発表した。第一弾として、東京臨海副都心エリア(有明・台場・青海地区)の公道で自動運転の実装を目指す事業者等が提供する自動運転移動サービスの中でODD設計支援を実施し、全国の自動運転サービス運営事業者へ展開していく。
自動運転技術は、交通事故の削減や高齢者等の移動支援、ドライバー不足といったさまざまな社会・地域課題の解決策として期待されており、政府は25年度をめどに50カ所程度、27年度をめどに100カ所以上の地域で無人自動運転移動サービスの実現を目指している。また、こうした政府の動向等も踏まえ、日本国内のさまざまな地域で自動運転技術を活用した取り組みが加速している。
同社では、自動運転社会の到来を見据えて16年から開始した群馬大学との共同研究を皮切りに、英国 Oxa Limited や米国 May Mobility と資本業務提携を行うなど、国内外のさまざまなパートナーと自動運転技術に関する研究・協業を進めてきた。
今回、同社は、自動運転移動サービスの安全な運行に貢献するため、約190万件のテレマティクス自動車保険契約の走行データとその分析ノウハウを活用したODD設計の効率化・精緻化に向けた取り組みを開始する。
取り組みでは、「①自動運転車両の走行ルート設定」として、同社がテレマティクス自動車保険の提供を通じて蓄積した自動車走行データ(急減速、急加速、急ハンドル、走行量、平均速度)を、移動サービスで使用する自動運転車両の走行ルート設定に活用する。また、「②テレマティクス車載器を用いた自動運転データの分析」として、移動サービスの提供で使用する自動運転車両に同社のテレマティクス車載器を搭載し、自動運転車両の走行データを取得・分析することで、自動運転車両固有の挙動や走行傾向を把握し、高度なODD設計の支援を目指す。また、収集した自動運転車両の走行データを同社が開発した「走行ルートリスク評価ツール」(注2)の精度向上にも活用していく。
同社では、今回の取り組みで得た自動運転に関する知見やノウハウを、日本国内で展開されるさまざまな自動運転技術を用いた移動サービスへ還元していくとともに、ODD設計支援にとどまらない自動運転に適応した事故・トラブル対応の在り方を含めた自動運転サービスの社会実装に資する保険商品・サービスの開発に取り組んでいくとしている。
(注1) Operational Design Domain (運行設計領域)の略で、設計上、各自動運転システムが作動する前提となる走行環境条件を指す。
(注2)自動運転車固有のリスク傾向を踏まえ、リスクと相関の高い走行環境要因(交差点やその通行方法、歩車分離の状況、交通量等)の分析に基づき、走行ルートのリスク評価を行うツール。
2.新たなトレンドと損害の要因―規制、AI、コネクティビティ
〈進化過程の規制とサイバー開示規則〉
データプライバシーやサイバー関連規制が、テクノロジーとビジネス慣行の発展に遅れをとり、大企業も中小企業も進化過程にある規制と法律環境の中で事業を行っている。
多くの組織が人工知能(AI)、そして生体認証データの新たな使用事例を見出しているなか、規制と法的解釈の進展はまだ道半ばにある。
「プライバシー、生体認証、サイバーインシデント開示規則といった分野での規制適用の将来像について、私たちは現在手探りの状態にある。データプライバシー規制違反に対する市場の補償は広範なので、規制の変更や司法によって確立される判例を常に把握しておくことが重要だ」と説明するのは Tresa Stephens(Head of Cyber, North America, Allianz Commercial)だ。
米国で包括的なデータプライバシー法を持つ州は、2023年のはじめにはカリフォルニア州、コロラド州、バージニア州、ユタ州、コネチカット州だけだったが、昨年、アイオワ州、インディアナ州、モンタナ州、テネシー州、テキサス州、オレゴン州、デラウェア州、フロリダ州がそれぞれ同様の法律を可決し、その数は倍増した(注16)。これらの法律は
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