損保協会発表 24年度決算概況 純利益は倍増の1兆8173億円 正味収保は火災・自動車増収等で4.9%増
損保協会は6月26日、会員会社31社の単体決算を集計した2024年度決算概況を発表した。経常収益は前年度に比べ13.8%(1兆5666億円)増の12兆9301億円で、元受正味保険料(含む収入積立保険料)は同4.3%(4264億円)増の10兆3442億円となった。経常費用は同3.5%(3641億円)増の10兆6804億円で、経常利益は資産運用粗利益の増益などにより、同114.8%(1兆2025億円)増益の2兆2497億円となった。経常利益に特別損益や法人税等合計を加減算した当期純利益は、同102.9%(9216億円)増益の1兆8173億円となった。
保険引受の概況では、正味収入保険料は、商品・料率改定の影響による火災保険や自動車保険の増収などにより、前年度に比べ4.9%(4466億円)増加して9兆5782億円となった。正味支払保険金は、国内の自然災害による支払いが減少したことに伴い火災保険の支払いは減少したが、24年1月に発生した能登半島地震に係る地震保険の支払いや、物価上昇に伴う支払単価の増加による自動車保険の支払いの増加などにより、同4.5%(2414億円)増加し5兆5714億円となった。種目別の正味収入保険料、正味支払保険金は別表の通り。
損害率は、前年度に比べ0.2ポイント低下して64.1%となった。
保険引受に係る営業費及び一般管理費は、前年度に比べ3.0%(408億円)増加して1兆3852億円となった。諸手数料及び集金費は、同2.4%(389億円)増加して1兆6739億円。これらを合計した事業費は同2.7%(797億円)増加したが、事業費率は、正味収入保険料の増収により同0.7ポイント低下して31.9%となった。損害率と事業費率を合計したコンバインド・レシオは、同0.9ポイント低下して96.0%となった。
以上の増減益要因に、その他の保険引受収益および保険引受費用を加減算した保険引受利益は、前年度に比べ28.6%(506億円)減少し1263億円となった。
資産運用の概況では、資産運用収益は、利息及び配当金収入が前年度に比べ21.3%(1682億円)増、有価証券売却益が同243.1%(1兆7118億円)増となったことなどにより、同103.1%(1兆3154億円)増加して2兆5916億円となった。資産運用費用は同12.0%(386億円)増の3600億円。資産運用収益から資産運用費用を差し引いた資産運用粗利益は、同133.7%(1兆2767億円)増益の2兆2316億円となった。
総資産は、前年度末に比べ7.9%(2兆7788億円)減少して32兆2350億円となった。
ソルベンシー・マージン比率は、31社とも法律で求める水準を超えており、問題ない水準。
これまで企業が直面してきたリスクについては、工場や設備、商品など目に見える有形資産が中心だったものの、現在では、知的財産やシステム、データといった無形資産の割合が増加しているとし、目に見えないリスク対応の必要性を指摘した。
また、企業の事業構造もグローバル化が進み、サプライチェーンがより複雑で広範囲となっているという変化によって、企業は今までにないほど複雑で不確実なリスク環境に直面しており、これを「複雑化」として捉える必要があると述べた。次に、「複雑化」によって増加しているリスクとしてサイバーリスクを挙げ、近年では、ランサムウエアの増加や攻撃手法の巧妙化により、企業にとって深刻な脅威となっているとした。攻撃者は大企業への直接攻撃ではなく、サプライチェーン上の中小企業を狙い、裏口から侵入する手法が増加していることに加え、AIによってフィッシングメールの精度も向上し、脅威は一層拡大しており、「実際にシステム停止やECサイト閉鎖による甚大な損害も発生しているため企業には高度なリスク対策が求められている」と強調した。
また、サプライチェーンの複雑化によって特定の調達先への依存や過度な分散が企業の生産に大きな影響を及ぼすリスクが高まっているとし、さらに、在庫の最適化が進む一方で、非常時の対応余力が乏しい点も課題だとした。地政学リスクや規制変更、輸送中断など、
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