損保協会 定例会見 舩曵新会長「信頼回復が最優先」と所信表明 代理店評価制度確立、比較推奨見直し等に注力
損保協会は6月30日、日銀記者クラブで定例記者会見を行い、同日開催の第14回定時社員総会で新しく協会長に就任した舩曵真一郎氏(三井住友海上社長)が協会長ステートメントを発表し、記者からの質問に答えた。同協会長は今後の活動方針について、「お客さまと社会からの信頼回復が最優先」と強調し、前任から引き継いだ取り組みをさらに深化させ、「代理店業務品質に関する第三者評価制度」の実効性向上、比較推奨販売のあり方の見直しなどに注力する考えを示した。(2~3面に協会長ステートメント全文掲載)
舩曵協会長は冒頭、一連の不祥事によって顧客、社会からの信頼を大きく損ねたことをあらためて陳謝した後、協会長就任後の所信表明を行った。
はじめに「信頼回復が最優先課題だ」と明言し、不正の再発防止に向け適切な保険募集のあり方を業界全体で再構築する必要性を説いた上で、昨年度に同協会で策定した「代理店業務品質に関する第三者評価制度」について、形式的なチェック機能に終わらせず実効性を高めることが大切だと述べた。具体的には、損保業界内で共通のチェックリスト(全171項目)を用いて保険代理店と保険会社が対話を進め、協会がその内容をモニタリングすることで、顧客本位の募集体制をより強固なものにしていくとの方針を示した。
また、リスクマネジメント意識の向上も重要課題と位置付けた。保険の価値を最大化するためには、顧客企業と保険会社の双方でリスク管理力を高める必要があるとし、「例えば、共同保険のあり方に関して議論が進められているアレンジャー方式などは、顧客企業、保険会社双方にリスクマネジメントの高い意識がなければ、しっかりとした制度として組成することが難しい。だからこそ、リスクマネジメントの意識向上にはスピード感を持って取り組まなければならない」と述べた。
顧客本位の業務運営の観点から、比較推奨販売の制度改正にも触れ、保険業法施行規則や監督指針の改正内容を踏まえて、乗合代理店が適切に募集活動を行えるよう、出向者派遣、政策保有株式、保険金支払のガイドライン等の策定と見直しを引き続き実施し、制度設計に関する協会の対応をさらに強化していくとした。
信頼回復と共に取り組むべき課題としては自然災害対応を挙げ、自然災害対応と地方創生は表裏一体の課題であるとの認識を示した上で、プロテクションギャップの解消を図るために、同協会として国や自治体と連携し、中小企業のBCP策定支援等に積極的に対応していく方針を示した。
その後、舩曵協会長が記者からの質問に回答した。
リスクマネジメント意識向上の具体策を問われ、顧客企業と保険会社双方の意識が高まってこそ真の効果が生まれるとし、とりわけ顧客企業には自社のリスクを適切に認識した上で、それへの方策を回避・保有・移転といった手段の中から選択するという、対応の全体像の把握が求められるとした。加えて、グローバル化やリスクの多様化が進む今こそ、業界としてルールや対応のあり方を見直す局面にあるとも指摘し、顧客企業のリスクに対応する専門人材としてリスクマネージャーの存在がより一層求められていると述べ、その役割を十分に果たせる体制整備が保険会社にも求められるとの見解を示した。
また、自動車保険の保険料引き上げについても問われ、国内外でインフレやコスト上昇の影響で事故損害率が上昇している現状を踏まえ、やむを得ないとの認識を示した。ただし、保険会社は値上げに頼るだけではなく、サービス向上や事務効率化によって顧客満足度を維持すべきだとし、業務プロセスの見直しやコスト削減に努める必要性をあらためて強調した。
ディーラー代理店や整備業界への対応策については、先に挙げたチェックリストに基づく代理店との対話が、大型整備事業者の募集活動改善にもつながると説明した。一方で、個人規模の整備事業者との対話は単なる保険募集にとどまらず、業界として整備事業の実態や課題をより正しく理解するために必要だと述べた。自動車保険は国内損保市場の半分を占める重要分野であり、修理現場を担う整備事業者の存在価値を正しく評価し、公平な関係構築に努めるべきとの認識を示した。
手順作成では、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や、実施手順を事業場ごとに事前に決める必要があり、これらは必ず関係作業者に対して周知しなければならず、怠った場合は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課される。対象となるのは暑さ指数(WBGT値)28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業で、同氏は「真夏の屋外の作業場は全て対象となる可能性がある」と注意を呼び掛けた。
厚生労働省実施のクールワークキャンペーンと今年のセミナーの事前アンケートについて紹介したのち、太田氏は熱中症対策のポイントについて作業前・作業中・発症後の三段階に分けて説明した。
作業前におけるポイントでは「現場の環境把握」を挙げ、特に暑さ指数による環境把握とコントロールの重要性を説いた。環境をコントロールする方法としてはスポットクーラーやミストファン、送風機を活用する方法を紹介したほか、遮熱ヘルメットやインナー保冷キャップ、ファン付き作業着など身に着けるものの活用方法を詳述した。加えて重要な点として「作業者への注意喚起」を挙げ、前日の飲酒などを含めた健康管理や休憩方法などを作業者に周知することの重要性を説明した。
また、忘れてはいけない準備として「法対応」に触れ、報告するための体制整備
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