金融庁 MVAの責任準備金で監督会計を見直し 告示、監督指針の改正案を公表
金融庁では6月23日、「保険業法第百十六条第二項の規定に基づく長期の保険契約で内閣府令で定めるものについての責任準備金の積立方式及び予定死亡率その他の責任準備金の計算の基礎となるべき係数の水準(平成八年大蔵省告示第四十八号)」の改正案とこれに関連する「保険会社向けの総合的な監督指針」の改正案を取りまとめ公表、パブリックコメントに付した。市場価格調整(MVA)の仕組みを持つ商品の責任準備金について、保険会社が適切にALMを実施している場合における会計上の課題に対応するための改正を行うものとしており、7月22日午後5時00分が意見提出の締切。
告示の改正は、改正前の第3項で「3 前二項の定めるところにより計算した保険料積立金又は払戻積立金の額がそれぞれの契約者価額を下回る場合には、当該契約者価額をもって保険料積立金又は払戻積立金とする。」の後にただし書きを加えたもので、「ただし、マーケット・バリュー・アジャストメント(保険契約の解約による返戻金の計算に際して、運用対象資産の契約時と解約時の金利差によって生じる時価変動額に基づく調整を加える仕組みをいう。以下この項において同じ。)を有する保険契約の区分(保険金、返戻金その他の給付金(第十項、第十三項及び第十四項において「保険金等」という。)の額を表示する通貨の種類ごとに、保険契約のキャッシュ・フローの特性に応じて区分された保険契約の集合をいう。以下この項において同じ。)が、次に掲げる要件の全てを満たす場合は、当該区分の保険契約(令和八年四月一日以降締結する契約のうち、マーケット・バリュー・アジャストメントが適用される期間のものに限る。)については、保険契約の解約による返戻金の額に基づき計算した契約者価額を保険料積立金としないことができる。」とした。また、その直後に記載されている要件に号番を付し、第3項の1号から3号までとした。つまり、MVAの仕組みを持つ商品については、1号から3号までの要件をクリアすれば、解約による返戻金の額に基づき計算した契約者価額を保険料積立金としないことができるとされた。
一方、「保険会社向けの総合的な監督指針」の改正案では、Ⅳ保険商品審査上の留意点等Ⅳ―5保険数理Ⅳ―5―2責任準備金の「(3)」の文言を「MVAの仕組みを持つ商品の責任準備金については、以下の点に留意する。」としたうえで、「①保険料積立金と解約返戻金のいずれか大きい額を積み立てることとなっているか。」「②平成8年大蔵省告示第48号(以下、Ⅳ―5―2において「告示」という 。) 第3項ただし書の規定を適用する場合には、特に以下の要件を満たしているか。(以下、ア~カ略)」を新設したうえで、「③標準責任準備金対象外契約について、告示第3項のただし書の要件をいずれも満たし、当該商品の運用対象資産の時価変動と解約返戻金額の変動との連動性が高いと認められる場合は、保険料の計算の基礎となる係数に基づき計算した保険料積立金を積み立てることができる。」が新設された。
本件に関しては、2024年7月に公表された「2024年 保険モニタリングレポート」の「1.財務の健全性の確保」「金融行政上の課題」の「(4)監督会計の見直しに関する検討」で「生命保険業界と対話を行いつつ、市場価格調整(以下「MVA」)に関する課題など具体的な論点が明らかな監督会計上の課題について検討を行った。引き続き、経済価値ベースのリスク管理との整合性や財務会計に関する見直しの動向等も踏まえつつ、必要な見直しを進めるとともに、監督会計のあり方についても検討を行っていく」とされていた。
MVAを利用した生命保険商品は、契約者が解約返戻金等を受け取る際に、市場金利に応じた運用資産の価格変動が解約返戻金額に反映され、解約時の市場金利が契約時と比較して上昇した場合には、解約返戻金額が減少し、逆に、低下した場合には解約返戻金額が増加する仕組みとなっている。過去には外貨建保険の販売量が多い保険会社では、海外で急激な市中金利の低下があるとMVAに係る責任準備金の積み増しを大幅にしなければならなくなり、反対に海外金利が上昇すると契約者から解約返戻金が想定していた水準を下回るとの苦情が顕著に増加するということがあった。
インターネット上では、夫を亡くした妻の受給できる遺族厚生年金が大幅に減るとの試算を示した某週刊誌のウェブ版記事も見られ、SNSでもこの記事の見出しが広く拡散・注目されていました。
この記事見出しの中の試算結果だけが注目を浴びていましたが、この記事全体を読んでも、例えば以下のような、試算前提についての重要な事項に関する説明が明記されていなかったため、記事を読んだ多くの人が内容を誤解して不安になってしまうのではないかと感じました。
▽夫死亡時に原則18歳年度末までの子がいないケースについての話であること
▽令和10年4月1日の改正法施行から15年以上経ってから、夫と死別した妻のケースについての話であること
そこで、今回は、このような記事を読んで不安を感じる必要はないことを理解できるように、遺族厚生年金の改正についてポイントを以下にお伝えいたします。
現行の遺族厚生年金制度
現行制度では、夫と死別したときに「30歳未満」の妻で、原則18歳年度末までの子がいない人への遺族厚生年金は5年の有期給付です。
一方、現行制度では、妻と死別したときに55歳未満の夫には遺族厚生年金は支給されません。
これが、今回の改正により、配偶者と死別したときに60歳未満の夫または妻で、原
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