金融庁 損保料率算出団体の内閣府令で改正案 参考純率の算出対象種目拡大へ 中小規模社の商品開発・新規参入促進
金融庁は6月25日、「損害保険料率算出団体に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」を公表した。「損害保険料率算出団体に関する内閣府令(平成八年大蔵省令第七号)」の「料率団体が参考純率の算出を行うことができる保険の種類」について、「第三条 法第三条第四項に規定する保険の種類は、次に掲げる保険の種類とする。」に第六号として新たに「六 その他金融庁長官が定める保険の種類」を加えるもの。金融庁が参考純率を算出する保険の種類を法定以外に定めることができるようにするもので、同庁では、本案をパブリックコメントに付し(締切7月25日午後5時)、所要の手続きを経て、公布・適用する予定。
今回の内閣府令改正の背景として、金融庁では、「「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書(昨年12月25日公表)において、今般の保険料調整行為事案の背景として、企業向け損害保険商品の取扱いが大手損害保険会社に集中しており、市場競争が十分に機能しなかったことがその要因の一つと指摘されております。このため、参考純率算出の対象種目を拡大し、保険料率の算出に係るコストを低減することにより、中長期的に中小規模の損害保険会社の商品開発や新規参入を促進していくことが適切であり、これにより、保険市場全体の効率化や保険会社の商品開発能力の向上等にも資することが期待されるため」と説明。
「損害保険料率算出団体に関する内閣府令(平成八年大蔵省令第七号)」の「料率団体が参考純率の算出を行うことができる保険の種類」は従来、第三条で「一 賠償責任保険/二 事業活動損害保険/三 労働者災害補償責任保険/四 動産総合保険/五 ペット保険」となっている。
「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」報告書では、「健全な競争環境の実現」の課題で、▽保険仲立人の活用促進▽企業内代理店に関する規制の再構築▽保険会社による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止▽火災保険の赤字構造の改善等―について検討・提言が行われた。参考純率算出の対象種目の拡大は、「火災保険の赤字構造の改善等」のなかに記載されており、
「今般の保険料調整行為事案の背景として、企業向け損害保険商品の取扱いが大手損害保険会社に集中しており、市場競争が十分に機能しなかったことがその要因の一つとの指摘がある。このため、参考純率算出・標準約款作成の対象種目を拡大し、保険料率の算出や保険約款の作成に係るコストを低減することにより、中長期的に中小規模の損害保険会社の商品開発や新規参入を促進していくことが期待される。その際、拡大する保険種目については、損害保険業界のニーズ等を踏まえながら、企業向けに限らず個人向け保険への拡大も含めて検討することも考えられる。ただし、保険種目によっては保険契約及び保険金支払いのデータが少なく参考純率が適正な水準とならない可能性があり、その場合、集積リスクが顕在化した際に中小規模の損害保険会社の収支に影響を及ぼす可能性があることから、こうした種目への拡大については慎重に考えるべきである」とされている。
対象種目に関しては、同報告書の脚注で「米国(ニューヨーク州)やドイツでは、火災保険、自動車保険、傷害保険以外にも、賠償責任保険、サイバー保険、運送保険等、多数の保険種目の標準約款が作成されている」との記載もある。
なお、同報告書では、「また、参考純率算出・標準約款作成の対象種目の拡大に伴い、各損害保険会社から損害保険料率算出機構に提供されるデータが増加することが見込まれる。この機に、損害保険料率算出機構のデータバンク機能を強化する観点から、保険分野のデータを整備し、それを公開していくための取組みを進めていくことも重要である」とも記載されている。
一貫した規制や明確なガイダンスがないにもかかわらず、弁護士、裁判所書記官、判事が訴訟遂行の支援ツールとして人工知能(AI)を利用する例が増えてきている。
24年、米国の連邦控訴裁判所判事(注23)が、保険契約などの法律文書に含まれる語句の解釈を支援するために、裁判所がAIソフトウェアの使用を検討するよう、法律意見書で提案している。この判事は、係争中の保険クレームと保険契約の解釈の背景をよりよく理解するために、ChatGPTを使用したことがあることを認めている。
AIツールは、契約書や判決文の作成といった法務プロセスの自動化、あるいは法務調査や分析の実施にますます利用されるようになっている。トムソン・ロイターの調査によると、法律専門家の70%が、今後5年以内にAIと生成AIが法曹界に変革をもたらすか、大きな影響を及ぼすと考えている(注24)。法律事務所Allen&Overy(A&O)(注25)では、契約の分析、デューデリジェンス、訴訟、規制遵守など、日々の法律業務において弁護士を支援するAI搭載のプラットフォームを23年に立ち上げた。
法曹界におけるAIの応用は避けられないとはいえ、現在は「西部開拓時代」のようなものだとCrotserは言う。
「法曹界や法廷におけるAIの使用はほとんど規制されていないが、AIを使用する
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