富国生命 第103回定時総代会開催 強固な財務基盤で収益力強化へ 保険と資産運用両輪による新中計の成長戦略示す
富国生命は7月2日、東京都千代田区の本社ビルで「第103回定時総代会」を開催した。2024年度の事業概況や業績などについて報告した他、24年度剰余金処分案承認の件や社員配当準備金分配の件、取締役12名選任の件など5議案の決議事項を審議し、全て承認された。渡部毅彦社長は今後の成長戦略を説明し、25年度からスタートした新中期経営計画について、強固な自己資本に裏付けされたリスクテイクによって、さらなる収益力の強化を図る方針を示した。
24年度の事業報告では、契約者中心の経営姿勢に基づく各種施策の他、新中期経営計画「THE MUTUAL ACT 2027」に向けた取り組みを中心に紹介した。
業績面では、個人保険・個人年金保険の新契約高が前年同期比7.2%増となり、3年ぶりに増加に転じた一方、保有契約高は微減していると報告した。資産運用では、利回り向上を狙って円金利上昇局面で低金利債券から乗り換えを進めた結果、利息・配当収入が増加し、基礎利益は前年より116億円増の1046億円となり、開示以降初めて1000億円を突破したと報告した。これらの業績に加え、ソルベンシー・マージン比率は前年度比で39ポイント低下したものの1108%と引き続き業界トップクラスの健全性を維持し、利益体質と財務基盤の強さを示した。
また、顧客への利益還元として、個人保険分野の契約者配当を強化したことを報告し、13年連続で増配を実施し、前年の約2倍となる総額101億円を余剰金として積み増す見込みとした。一方、従業員処遇の改善も継続し、24年度は営業職員の年収を前年から7.0%、内勤職員を10.3%引き上げたところ、営業職員の3年間累積昇給率が28%に達し、社内調査でも「富国生命で努力すれば報われる」といった意識が高まっていることが示されたという。
渡部社長は、22~24年度の保険事業について、「みらいプラス」や「未来のとびら」「グッとアップ」といった商品群の展開により、顧客ニーズに応じた商品開発を推進し一定の成果が得られたと報告した。その上で25~27年度の新たな中期経営計画「THE MUTUAL ACT 2027」では残された課題の解消に取り組むと述べ、今後3年間は、保険事業と資産運用の両輪によるさらなる成長を目指し、強固な自己資本に裏付けられた適切なリスクテイクを通じて収益力の強化を図る方針を示した。
同氏は、経営ビジョンとして掲げる「お客さま満足度ナンバーワンの生保会社」の実現に向け、顧客、地域社会、職員という主要なステークホルダーとの共感と信頼を深める取り組みを推進していく考えを示した。加えて社員参加型の経営体制として、職員との対話を通じて現場の声を経営に反映させる仕組みを継続するとし、「職員一人一人が経営の一翼を担っているという自覚を持てるような組織運営を重視する」と述べた。
また、経営環境変化への対応策も示した。同社は長期低金利・デフレ環境の終了をポジティブと捉え、金利上昇局面では配当還元を加速させる一方で、人口減少による市場縮小の逆風も予想される中、海外展開ではなく国内市場での競争力維持に注力する方針を示した。渡部社長は「当社はこれを海外や他業態への進出ではなく、強固な自己資本を裏付けとして資産運用の収益力をさらに引き上げることで実現していく」と述べ、国内で得られる高い運用収益を、営業力や配当充実に転嫁するビジネスモデルを重視する姿勢を明らかにした。
国内市場で拡大するプロテクションギャップについても触れ、これを埋める営業戦略が課題だとし、「お客さまアドバイザー」による対面コンサルティングを強化し、契約者一人一人に最適な保障提案を行うことで、保有契約高の純増や顧客満足度の向上を狙うとした。
報告終了後は、総代から寄せられた人口減少下での事業展開や商品提案、デジタル活用などに関する事前質問に対し、渡部社長や各担当役員が丁寧に回答した。
今年度は「熱中症は未然に防げる気象災害」をテーマに、さまざまな情報を発信している。大雨や台風などの気象災害は事前に気象情報を見て備える人が多いと思うが、熱中症は最悪の場合死に至る可能性がありながら、危機感を持って事前に備える人が少ない。また、「熱中症を自分ごととして捉えてもらうこと」は、ここ数年感じている熱中症対策の課題だ。暑さへの備えには予防・対策情報のほか、熱中症になってしまった場合の治療、入院に関わる知識を周知することも必要だと考えた。
そのため今年から協力団体としてジェイアイ傷害火災監修のもと、「熱中症ゼロへ」プロジェクトの公式サイト内の一部のコンテンツ作成を行った。公式サイトの「暑さへの備え」の項目には、「もしもの時に備える」というコンテンツがあり、そこで熱中症になってしまったときに必要な治療費や保険について触れている。2社それぞれの専門性を生かし、一般の人にも分かりやすいコンテンツを作成できたことはとても良かったと考えている。
――協力団体に選定されたことについて。
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