金融庁 気候変動による急性物理的リスクをシナリオ分析 高まる風災/水災でのリスク 脱炭素社会移行の重要性を確認
金融庁は、損害保険会社19社と損害保険料率算出機構と連携し、NGFS( Network for Greening the Financial System :気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク)が公表するシナリオ第4版を参考にシナリオ分析を実施し、その分析結果、主な論点・課題について取りまとめ、「気候関連リスクに係る第2回シナリオ分析【保険セクター】(損害保険・急性物理的リスク)」として6月20日に公表した。本日から4面ないし6面で掲載していく。
第2回シナリオ分析は、風災(台風)と水災(洪水)の二つの急性物理的リスクを対象に、トップダウン分析(金融庁が損保料率機構から入手した全社データにより行った分析)とボトムアップ分析(料率機構モデルから算出された個社の保険金支払額データ(定量回答)と各社の分析結果に関するアンケートの回答(定性回答)による分析)を組み合わせたハイブリッド方式で実施した。その結果、風災/水災の別や災害規模(発生確率)により一定の違いが見られるものの、気候変動の進展に伴って保険金支払額が増加しており、気候変動が進む場合に発現する急性物理的リスクの大きさが確認された。金融庁では「急性物理的リスクの発現に備えてどのように対応するかという適応策の検討・実施は当然に重要であるが、併せて、移行リスクに留意しつつ、物理的リスクが大きくならないように、脱炭素社会への移行を進めていくことの重要性が確認された」としている。
金融庁が7月4日に公表した「2025年保険モニタリングレポート」によると、「第2回シナリオ分析は、損保会社が負担する保険金支払額がどのように増加するかを分析した。しかし、保険金支払額が増加すれば、その原資を賄うために損保会社は保険料を引き上げなければならず、契約者である個人や企業等への影響は避けられない」としている。
そこで「個々の契約者の保険料負担に視点を移すと、地域、構造、築年数など保険料の算出区分ごとに見ていく必要がある。また、その場合、風災や水災の影響を受けやすい地域・構造や築古物件の火災保険料のアップ率は、保険金支払額総額のアップ率よりも大きなものになる可能性がある。したがって、個々の契約者の保険入手可能性を考えると、損保会社は、個人や企業等における防災・減災サービスの活用を後押しし、保険金支払額総額はもちろん、個々の契約者の予想損害額が増加しないように努める必要がある。また、保険料を引き上げざるを得ない場合でも、保険入手可能性を損なわないように、契約条件(免責金額等)の適切な見直しを含めて検討を行う必要がある」と指摘。
さらに、「損保会社は、現在も再保険(ILS(保険リンク証券)含む)を活用して自然災害リスクをヘッジしているが、気候変動が進展する場合、再保険等をより一層活用していく必要がある。日本国内の自然災害リスクの引受先は、主に海外の再保険会社や投資家であるが、火災保険の保険料を引き上げても、海外の再保険会社や投資家が再保険を引き受けなければ、日本の損保会社は火災保険を提供し続けることが難しい。したがって、日本の損保会社は、今まで以上に再保険会社等とのコミュニケーションを密にし、気候関連リスクが高まる中で互いにビジネスパートナーとして、どのようにリスクとリターンを分担し合うか、長期的な視点に立って対話を行い、安定的に火災保険を提供していくために、再保険等の持続可能性を含めて、自身の持続可能なビジネスモデルの構築を進めていく必要がある」とも指摘している。
日本生命は、「人生100年時代」を生きる一人ひとりが、「安心して・自分らしく」より豊かに生き、明るい長寿時代とすることのサポートを行う、同社の高齢社会対応を『Gran Ageプロジェクト』(グランエイジプロジェクト。2016年スタート)と呼んでいる。魅力的な商品や高齢の顧客・家族を支えるサービスの開発に加え、全国約5万人の営業職員を中心としたフェイス・トウ・フェイスの強みを生かした地域社会への貢献活動等、シニアに寄り添ったさまざまな取り組みを推進。さらなるバージョンアップも図っていくという。
■グランエイジプロジェクトに込めた思い
同社では、2006年から東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)やニッセイ基礎研究所の協力のもと、加齢に伴う心身の変化を研究し、高齢社会に起こる個人と社会のさまざまな課題を解決することを目的とした学問である「ジェロントロジー」の考え方を日本に根付かせる活動を推進してきた。
人生100年時代ともいえる長寿時代が到来する中、16年に、安心かつ計画的で充実した自分らしいセカンドライフを過ごしてもらうための「長生きのための新しい保険~Gran Age~」の発売を契機に、グランエイジプロジェクトを始動した。
ライフサポート事業部の笠原有子部長は、「せっかくの人生100年時代にもかかわら
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