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生保協会 「令和8年度税制改正要望」を公表 子育て世帯の控除拡充恒久化求める 「積立金の特別法人税撤廃」も重点要望項目に

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 生保協会は7月18日、「令和8年度税制改正に関する要望」を取りまとめ公表した。重点要望項目は2項目で、1番目は前年度に続き「生命保険料控除制度の拡充」を挙げ、「子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充の恒久化」を求めた。また、昨年度も要望した「公的年金制度を補完する企業年金制度(確定給付企業年金制度、企業型確定拠出年金制度、厚生年金基金制度)および個人型確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税を撤廃すること、撤廃に至らない場合であっても課税停止措置を延長すること」を2番目の重点要望項目とした。「その他の要望項目」では、企業年金保険関係で3項目、生命保険契約関係で1項目、資産運用関係で1項目、その他で2項目を挙げた。

 重点要望項目の「生命保険料控除制度拡充」は、前年度に引き続き「人生100年時代を迎え、少子高齢化の急速な進展や働き方・ライフスタイルの多様化など社会環境が変化する中、持続可能な社会保障制度の確立と国民生活の安定に資するために、国民の自助・自立のための環境を整備する観点から、生命保険料控除制度を拡充すること」とし、子育て世帯が将来に向けて安定的に保障を継続できる環境を整備する観点から、2026年分所得税で1年間の時限措置として講じられる「23歳未満の扶養親族を有する場合の一般生命保険料控除枠の所得税・適用限度額に対する2万円の上乗せ措置」を恒久化するなど所要の措置を講ずることを求めた。
 もう一つの重点要望項目「公的年金制度を補完する企業年金制度および個人型確定拠出年金制度等の積立金に係る特別法人税の撤廃または課税停止措置の延長」については、「企業年金(確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金)および個人型確定拠出年金は、公的年金を補完する制度として勤労者の老後生活を保障する上で重要な役割を担っており、わが国の急速な少子高齢化の進展に伴い、その重要性は従来以上に高まるものと考えられる」としたうえで、「これらの年金制度では現在、約1.2%の税率(地方税を含む)で積立金に特別法人税が課されることになっているが(26年3月末まで課税凍結中)、昨今の厳しい運用環境下での1.2%の負担は極めて大きく、企業年金制度の持続性や受給権の保全にも支障を来すことになる。さらに、退職給付会計により企業年金の積立不足額が負債計上されるため、財務効率の悪化を通じ企業格付にまで影響を及ぼすことになりかねない。また、確定拠出年金の場合、企業型年金のみならず、個人型年金の積立金に対しても特別法人税が徴収されることになっており、当該制度の普及・発展の大きな障壁となることが懸念される。諸外国の企業年金制度では積立金に課税している例はなく、国際的整合性の観点からも大きな問題だといえる。試算によれば、仮に特別法人税が復活した場合、25年間の積立で年金給付水準が約20%削減されてしまうことになる」と指摘。
 そのうえで、「今後、年金課税について、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討していくにあたっては、運用段階の課税である特別法人税について、より豊かで安定した老後生活を確保するため、また、公的年金を補完する企業年金制度の健全な発展のために、課税凍結ではなく撤廃を要望する。また、撤廃に至らない場合であっても、課税停止措置を延長することを要望する。併せて、事業主が勤労者の財産形成のために資金を拠出する制度である財形給付金契約や財形基金契約の積立金に対しても特別法人税が課されることになっていることから、財形給付金契約および財形基金契約の積立金に係る特別法人税についても撤廃を要望する。また、撤廃に至らない場合であっても、課税停止措置を延長することを要望する」と要請した。
 「その他の要望項目」は、「Ⅰ.企業年金保険関係」では前年度に引き続き、▽働き方に中立的な税制の構築に向けた税制改正の議論、とりわけ拠出時・運用時・給付時の課税の在り方については、私的年金全体の拠出限度額の見直し等の議論が進んだ場合であっても、年金制度のカバレッジの縮小が起きないよう、一体的・慎重に議論を行うこと▽確定給付企業年金制度について、企業の年金支給義務等を移転させる仕組みを導入するための措置を講ずること▽企業型確定拠出年金制度における退職時の中途引出し(脱退一時金)について支給要件を緩和すること―の3項目、「Ⅱ.生命保険契約関係」では、▽遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数×500万円」)に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること、「Ⅲ.資産運用関係」では、▽不動産関連税制の総合的見直しを図ること―を挙げた。
 また、「Ⅳ.その他」では、前年度に引き続き▽生命保険業の法人事業税について、現行の課税方式を維持すること―を要望したほか、新たに▽国際課税ルールに従った国内法制化およびその施行にあたっては、米国をはじめとした諸外国の税制度・運用実態等を踏まえ、日本の生命保険会社の事業活動が阻害されることがないよう、十分に留意すること―を要望した。
 これについては、「21年10月にBEPS(税源浸食と利益移転)に関する経済協力開発機構(OECD)/G20の会合で、新国際課税ルールの合意がまとめられた。同国際合意は、市場国への新たな課税権の配分(「第1の柱」)とグローバル・ミニマム課税(「第2の柱」)の二つの柱で構成されており、同国際合意を踏まえ、「第2の柱」のうち、23年度税制改正では、所得合算ルール(IIR)について国内法制化がなされ、24年4月から施行された。また、25年度税制改正では、軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)について国内法制化がなされ、26年4月から施行予定。一方、米国では、米国市民・企業に対し差別的または域外適用的な課税をしている国の企業・個人が米国内で得る特定の源泉所得に対し追加的に課税される税制を導入することが検討されている。この差別的または域外適用的な課税にはUTPRも含まれているため、仮に同税制が導入され、日本が米国に対し差別的な税を課している国と見なされた場合には、日本企業と国内居住者が米国内で得る特定の源泉所得に対し追加的な税が課されることとなる」「企業間の公平な競争条件を作る等の観点から国際課税ルールを見直していく方向性については生命保険業界としても異論のないところだが、国際課税ルールに基づく国内法制度の見直しや実施にあたっては、米国をはじめとした諸外国の税制度・運用実態等も踏まえ、日本の生命保険会社の事業活動が阻害されることがないよう、十分に留意することが必要と考える」としている。

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