金融庁 468件のパブコメと「考え方」公表 「保険会社向けの総合的な監督指針」改正 「過度な便宜供与の防止」関連に169件の意見
金融庁では、「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)を5月12日から6月13日にかけてパブリックコメントに付していたが、8月28日、コメントの概要およびそれに対する金融庁の考え方を公表するとともに、改正案の文言を一部修正のうえ同日から適用を開始した。
今回の金融庁の監督指針の改正は、一昨年からの保険金不正請求事案及び保険料調整行為事案を踏まえ、顧客本位の業務運営と健全な競争環境の実現を図るほか、最近相次いで発覚している情報漏えい事案への対応を図るため、「保険会社向けの総合的な監督指針」について、所要の改正を行ったもの。昨年の有識者会議及びワーキング・グループの報告書で、「保険会社向けの総合的な監督指針」の早急な改正に対する期待が示されたことを踏まえるとともに、新たに発覚した情報漏えい事案への迅速な対応を図るため、早いペースで作業が進められた。金融庁によると今回のパブコメに対しては約170先の個人・団体から意見が寄せられ、改正案に関係するものとしては計468件の意見があった。
監督指針改正に関する全般的な意見が4件あったほか、改正のテーマ別の意見の件数は以下のとおり。
▽損害保険会社による保険代理店に対する指導等の実効性の確保(監督指針Ⅱ―4―2―1(4)):16件
▽保険代理店等に対する過度な便宜供与の防止(監督指針Ⅱ―4―2―1(17)、Ⅱ―4―2―9(5)、Ⅱ―4―2―9(6)、Ⅱ―4―2―9(10)、Ⅱ―4―2―12):169件
▽保険代理店等に対する不適切な出向の防止(監督指針Ⅱ―4―2―13):90件
▽代理店手数料の算出方法適正化(監督指針Ⅱ―4―2―14):75件
▽顧客等に関する情報管理態勢の整備(監督指針Ⅱ―4―5):9件
▽政策保有株式の縮減(監督指針Ⅱ―4―12):22件
▽仲立人の媒介手数料の受領方法の見直し(監督指針Ⅴ―4―4):83件
施行時期
パブリックコメントの1番目は、「今回の改正内容には、実務上、体制整備や内部管理体制の再構築を要する事項も多く含まれており、改正の施行日までに対応を完了できない保険会社や保険代理店が存在する可能性がある。ついては、施行日時点において保険会社や保険代理店において体制整備が完了していない場合も、相応の準備・対応が進められていることを前提に、一定の猶予期間を設けるなど、柔軟な運用が行われることを希望する」というもので、「金融庁の考え方」は、「公表日時点で今回の監督指針改正を踏まえた態勢整備等が完了していなくとも、必要な準備・対応が進められている限りにおいては、直ちに問題視されるものではありませんが、今回の改正の趣旨に鑑み、速やかに態勢整備に取り組む必要があると考えます」とあり、一定柔軟な対応をとることが示された。
施行時期に関するもので「過度の便宜供与の防止」に関しては、第48番の意見「…ここでいう体制整備の完了は、本改正の施行から一定の猶予期間が設定されると理解して良いか」に対して、「本改正は公表日より適用となりますが、過度の便宜供与の解消措置を講じることにより、顧客保護上の問題が生じるなど、必要やむを得ない事情がある場合には、可能な限り速やかに解消へ向けた適切な対応が行われている限りにおいて、公表日時点で解消措置が完了していなくとも直ちに問題視されるものではありません。なお、公表日時点で体制整備が不十分な場合は、今回の改正の趣旨に鑑み、速やかに体制整備に取り組む必要があると考えます。…」との「金融庁の考え方」が示された。
同じく「不適切な出向の防止」に関しては、第190番の意見「監督指針に沿った出向体制の整備は、保険会社・代理店の人事・体制の変更を伴うため、一定の期間を要するものである。本改正の趣旨に鑑み、速やかに保険会社・代理店間での協議を行い、一定の期間のうちに、整備を行うことで問題ないか」に対して、「不適切な出向については、遅くとも現在の契約期間満了を以て解消するなど、可能な限り速やかに対応する必要があると考えます。また、不適切な出向の解消を含めた出向の見直しに当たっては、顧客対応等に支障が生じないよう、保険代理店との丁寧な対話を行い、保険代理店側の状況を把握した上で、それに応じた適切な措置を講じる必要があると考えます」との「考え方」が示された。
さらに、「代理店手数料の算出方法適正化」関連では、281番「代理店手数料ポイント制度の仕組みや運用の見直しにあたっては、保険代理店への丁寧な説明や周知が必要である。本改正内容を踏まえた保険会社における代理店手数料ポイント制度の見直しに際しては、即時の対応が求められるものではなく、保険代理店への説明や周知等に要する一定の期間を経た後の対応も許容されるという理解でよいか。また、今後具体的な対応期限が示されることはあるか」に対して、「貴見のとおりです。なお、「一定の期間」については、保険会社ごとに事情が異なり、一律に定められるものではありませんので、今後、具体的な期限を示すことは考えておりません。その上で、「一定の期間」については、例えば、見直し後の仕組み等を保険代理店に説明するための期間と、実際に見直し後の仕組みによって保険代理店を評価するための期間を設けた上で、可及的速やかに対応するといったことが考えられます」との「考え方」が示された。
「仲立人の媒介手数料」関連では、386番「保険会社が、保険仲立人が媒介手数料の全部または一部を顧客に請求する契約を引き受ける場合に、正しく保険料を算出し計上するには、保険会社における社内規定の整備やシステム手当て等が必要と考えられる。本改正の施行日時点でこれらの体制整備が完了している必要はないという理解でよいか」に対して、「本改正の施行日時点において、社内規定の整備やシステム対応等が完了していなくとも、必要な準備・対応が進められている限りにおいては、直ちに問題視するものではありませんが、保険会社は、速やかに態勢整備に取り組む必要があると考えます」との「考え方」が示された。
「過度な便宜供与の防止」
また、「過度な便宜供与の防止」関連は169件と最も多くの意見が寄せられたが、これに対して「金融庁の考え方」が明確化した点も注目される。
25番意見に対して「過度の便宜供与に該当し得るかは、当該便宜供与の趣旨・目的のほか、価格・数量・頻度・期間及びその負担等を総合的に勘案しつつ、当該便宜供与によって生じ得る弊害の内容・程度を考慮し、社会通念に照らして妥当であるかによって判断されるべきものであり、一概に回答することは困難です。また、「ウ.保険会社等からの便宜供与による自社の比較推奨販売への影響の有無に係る確認・検証」については、例えば、保険会社から特定の便宜供与が行われた後に、当該保険会社の保険商品のシェアが有意に増加したかを確認するということも、有効な確認・検証方法の一つとして考えられます。一方で、御指摘のとおり、販売シェアは様々な要因により変動することがあり得るところ、影響の要因を検証するうえでは、便宜供与とは別の要因(新商品の発売など)も考慮するなど多角的な検証が行われる必要があると考えます」とされ、29番意見「比較可能な同種の保険契約の取扱いがないなど、比較推奨販売を行わない場合には、顧客の適切な商品選択の機会を阻害することはないと考えられるので、体制整備は必要ないという理解でよいか」に対しては、「Ⅱ―4―2―9(6)は、比較推奨販売を行う場合について、ア.~オ.に規定する措置を講じることを求めるものです。一方で、比較推奨販売を行わない乗合代理店においても、Ⅱ―4―2―12の趣旨を踏まえ、例えば、今後新たに商品を取り扱うことや、当該商品を優先的に推奨すること等を理由に過度の便宜供与を求めるといったことがないよう、適切な措置を講じる必要があると考えます」といった「金融庁の考え方」が示された。
■デジタル化や健診管理などが特長
同社では、スマート総福の発売に際して、従来から販売している「総合福祉団体定期保険(無配当)」の保険料改定を行い競争力のある保険料水準とするとともにデジタルを活用した手続きを可能とする「総合福祉団体定期保険電子契約に関する特約条項」を新たに開発した。
スマート総福は、従来の総福同様に企業・団体の代表者を契約者とし、団体の所属員を被保険者とする保険期間1年の団体生命保険となっている。企業・団体の定める福利厚生規程(弔慰金・死亡退職金規程等)の円滑な運営と所属員(従業員)およびその遺族の生活保障を目的に、被保険者が死亡または所定の高度障害状態になった場合、企業・団体の規程に準拠した死亡保険金または高度障害保険金を支払うといった特長がある。
スマート総福ならではの特長は、①保険契約時の手続き(被保険者の同意取得や告知等)をデジタル化することによるペーパーレス化や手間の削減(なお、Smart HR社の人事労務クラウドを利用する企業の場合は、名簿の自動連携機能があるため、より簡便な手続きが可能)、健康診断の受診率等所定の条件を満たす団体への健康診断割引特約の適用など。
また、「早期治療支援特約」を付加した場合には、①健康診断の結果、要精密検査等の所定の基準に該当し、受診日の翌日からその日を含めて
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