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SOMPOHD 米・英・バミューダのスペシャルティ保険グループ 米アスペン社の友好的買収で合意 海外保険事業を非連続に成長させ収益構造を質的に転換

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 SOMPOホールディングス(以下、SOMPOHD)は8月27日、100%子会社の Sompo International Holdings Ltd. (以下、SIH)を通じ、米国を中心とした事業基盤を持つ Aspen Insurance Holdings Limited (本社バミューダ、ニューヨーク証券取引所上場、Chairman兼CEO: Mark Cloutier 氏、以下、アスペン社)の買収手続きを開始することについて、同社と合意したと発表した。買収は友好的なもので、両社の取締役会は買収に全会一致で賛同しているという。各国関係当局等の認可・承認を前提として、2026年上半期に手続きを完了する見込み。

 アスペン社は米国を中心に英国・バミューダなどで元受保険事業・再保険事業を展開するスペシャルティ保険グループで2002年5月23日の設立。資本金は9万1838米ドル(25年6月30日現在)。19年にプライベートエクイティファンドの Apollo Global Management Inc. に買収され、非上場会社となった後、ロイズプレイヤーである Brit のCEO等、保険業界の要職を歴任した現Chairman兼CEOの Mark Cloutier 氏が事業の立て直しを行い事業価値を高めた後、今年5月に再度米国ニューヨーク証券市場に上場した。
 24年12月期のグロス保険料は46億0900万ドルで元受保険と再保険のバランスが取れた事業ポートフォリオという特徴に加え、低い社費率を維持することにより、過去3年間(22~24年)の平均コンバインドレシオは89.5%と高い収益性を維持している。良好な財務健全性を保持しており、民間の格付会社からも高い保険財務力格付(S&P「Aマイナス」、AMベスト「A」)を取得している。
 SOMPOグループは海外保険事業では、17年に約6800億円で買収したエンデュランス社(SIHの前身)をグローバルプラットフォームとして、すべての海外保険事業をSIHの下に集約し、主に米国・欧州を中心としたオーガニック成長(自社による成長)により、着実に収益拡大に取り組んできた。
 同グループでは利益の上振れに加え、政策保有株式の売却を前倒しで進めたことで資本が順調に積み上がったことから、早期の利益貢献と資本効率の向上につながる成長投資の機会を模索していたところ、アスペン社がSIHがプレゼンスを持たないロイズ市場で最優良シンジケートの一つとして評価されており、また、SIHのオーガニック成長だけでは獲得が難しい独自の強みとして、第三者資本を活用した手数料ビジネスという安定的な収益モデルを有していることなどを踏まえ、同社が海外保険事業を非連続に成長させ、収益構造を質的に転換させるために最適なパートナーだと判断し、本件買収の合意に至ったとしている。
 買収は、バミューダの会社法に基づき、SIHの100%子会社の Endurance Specialty Insurance Ltd. (以下、ESIL)を買収実行会社として、ESILがバミューダに特別目的会社を新規設立し、アスペン社を存続会社として両社を合併させる手法で行う(逆三角合併方式)。この手続きを通じて、ESILはアスペン社の既存株主へ現金対価を支払い、アスペン社の普通株式を100%取得する。ESILは、アスペン社の普通株式を1株あたり37.5米ドル(5602円)、約34.8億米ドル(約5195億円)で取得する。異動後の所有株式数は普通株式9273万4531株で議決権所有割合は100%となる。買収のための資金は、SOMPOグループ内の手元資金により充当する予定。
 SOMPOHDでは今回の買収の意義について、①グローバルビジネスプラットフォームの拡大②高品質かつ競争優位性のあるプラットフォームの獲得③資本基盤の強化と収益貢献―の3点を挙げる。
 ①については、SIHを中心としたグローバルビジネスプラットフォームを拡大し、保険料、修正連結利益および修正連結ROEに対する海外保険事業の貢献度向上を目指すという同社の戦略を加速させるもので、英国、バミューダ、ロイズ市場でのプレゼンスが強化されることにより、スペシャルティ分野の世界有数のフランチャイズとしての地位がより強固なものとなると説明。既存事業を補完する事業ラインが加わることで、同社グループの事業ポートフォリオと収益構成のバランスが向上するとともに、アスペン社の持つ安定した手数料収入ビジネスにより、収益のボラティリティが一層低減するとした。
 ②については、アスペン社の持つロイズシンジケートは、優れた引受実績と厳格な資本規律の下、最優良シンジケートの一つとして高く評価されているほか、同社の長期的関係に裏付けられた第三者資本を活用した再保険取引を行うことにより、安定した手数料収入(約1億6900万米ドル〈約250億円〉)を獲得し、修正連結ROE向上に寄与するとした。また、良好なプライシングや引受条件についての市場環境は中期的にも継続することが見込まれ、規律ある成長を後押しするとの見方を示した。
 ③については、SIHとアスペン社を将来的に統合させることにより余剰資本の創出、投資利回り・事業効率の向上等の多様なシナジーが見込まれるほか、アスペン社の安定した保険引受利益、資産運用収益と継続的な手数料収入により、本買収は修正EPS(1株当たり利益)向上、および中期経営計画における修正連結ROE目標13~15%の達成へ貢献するものとしている。
 SOMPOHDの奥村幹夫グループCEOは今回の買収について、「本件買収によるアスペン社の高品質で多様な事業ポートフォリオの組み入れは、SOMPOのパーパス実現に向けて、当社グループのレジリエンスのさらなる向上、持続的な成長を加速させるものであり、中期経営計画目標の達成に大きく貢献するものと確信している。本件買収完了により、SIHはグロス保険料ベースでグローバルの再保険業界トップ10の地位を確立し、当社グループの事業ポートフォリオにおける海外保険事業の割合は約56%に上昇する見込みだ。本件買収は、当社グループのグローバルにまたがる強固な基盤と、世界各地のチームが持つ高度な専門性の融合による成果だ。今後もこの強みを生かし、日本発の真のグローバル企業への進化と持続的な企業価値向上を目指していく」とコメントした。

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