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日本生命 出向者による情報取得事案の調査結果を報告 7代理店で604件の情報取得 適切な販売支援による業績拡大の意図を確認

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 日本生命は9月12日、銀行への出向者による不適切な手段での情報取得事案について、金融庁からの報告徴求命令を受け進めてきた調査の結果を同庁に報告したと発表した。調査の結果、合計7代理店で604件の情報取得を確認したことを報告し、動機については、適切な販売支援を通じて出向先からの同社に対する評価を向上させたいとの思いが根底にあり、出向先銀行の販売方針や業績を理解・把握することで支援を強化し、銀行および自社の業績向上に寄与するとともに、出向者自身の定性的評価にもつなげたいという意図があったと説明している。

 事案の全容解明に向けて同社で調査を行ったところ、2019年5月から25年2月にかけて、出向者13人が出向先の上長の許可を得ることなく、私用スマートフォンのメッセージアプリや郵送などを通じて生命保険販売推進や業績評価体系等に関する内部情報を持ち出し、同社の銀行本部窓口担当者23人に共有していたことが判明。銀行本部窓口担当者はこれらの情報を社内資料に転用し、金融法人部門の役職員等に展開していた。
 出向者は、銀行の各支店を担当する同社職員が出向先の方針等を理解することにより一層効果的な販売支援が可能になると認識しており、銀行の期待に応える質の高い支援を行うことで、銀行ひいては同社の窓販業績の拡大と、出向者自身の定性的な評価の向上を期待する意図があったことが確認されている。
 同社では、今回の事案における出向者および銀行本部窓口担当者の行為について、不正競争防止法における営業秘密保護の趣旨に照らして適切ではなかったと判断している。なお、取得された情報の営業秘密該当性については、その性質や内容、出向先の状況を踏まえた上で判断する必要があり、同社単独では判断できないとしている。また、出向者による不適切な手段による情報取得に関して、同社内からの明示的な指示は認められておらず、顧客情報の取得や第三者への共有も確認されていないという。
 事案の主な発生原因は、銀行に対する販売支援の質向上を目指し銀行情報の収集を重視する中で、不適切な手段と認識しながらも容易に取得できる出向者からの収集に頼ってしまったこと、さらに金融法人部門のコンプライアンス担当である第1・5線および第2線組織において、出向者による不適切な情報提供のリスクに対する想像力を欠いており、結果として不正競争防止法等の関連法令の教育・指導や早期検知ができなかったことにあるとしている。
 具体的には、①情報取り扱いのルールや法令等の周知・教育不足②出向者の出向先および自社への貢献意欲③情報受領者のコンプライアンス意識の低さ、管理・指導の不足④第1・5線組織による異常事象の検知の遅れ⑤第2線・第3線組織による教育・けん制等の不十分さ―の五つが挙げられている。
 なお、銀行以外で出向者を派遣している代理店についても調査を実施した結果、複数の代理店で不適切な手段での情報取得事案が判明した。事案の構造や背景は、おおむね銀行事案と同様と見ている。
 再発防止策としては、出向制度の見直しを進め、26年4月をめどに銀行等における営業フロント職務および営業企画・支援職務に従事する出向を停止する予定であり、併せて25年9月から出向者に対する不正競争防止法等の遵守に関する教育・研修を実施する。
 銀行等との情報のやり取りについては、情報取得・取扱いルールを明確化し、当該ルールの遵守を徹底するとともに、遵守状況の定期的な確認を行う。また、出向者以外の役職員に対する関連法令の研修・発信も強化する。
 金融法人部門内では、25年10月からコンプライアンス運営などを担う金融法人管理グループ第1・5線組織による法令等遵守の徹底に向けた取り組みを強化し、第2線組織と連携してけん制機能を発揮する体制を早急に構築するとともに、フロント組織に対する研修の拡充を図る。
 第2線組織は、銀行窓販チャネル・マーケットの特性を踏まえコンプライアンスの徹底に必要な支援・けん制を行い、リスク評価プログラムの実効性向上に取り組む。また、内部監査部門の第3線組織と第1線、1・5線、第2線組織との対話を強化し、リスクの早期発見と適切な対応を可能とする体制を構築する。第3線組織は、銀行窓販チャネル・マーケット特性等を踏まえたリスク・アセスメントの強化に努める。
 さらに、25年9月から再発防止策に特化して審議等を行う委員会を新設し、行動規範の浸透と内部通報制度の改善に取り組む。コンプライアンス意識の醸成も強化し、各種研修等を通じて行動規範の浸透を図るとともに、従業員にとってより心理的ハードルの低い、職員が気軽に声を上げることができる内部通報運営を検討する。
 関係者の処分については、社内規程に基づき適切に対応していく予定としている。
 また、金融法人部門の銀行本部窓口担当者が金融庁からの報告徴求命令を受ける前に資料共有サーバー上のフォルダを削除していた件については、隠蔽や証拠隠滅の意図はなく、第三者によるアクセスを懸念して短絡的に削除したものであり、組織的な指示も確認されていないが、調査妨害の疑義を招く行為の防止が不十分だったとの認識を示している。なお、削除されたフォルダは復元されており、調査の十分性には影響はなかったという。
 さらに、複数の金融機関に出向者を派遣しているニッセイ・ウェルス生命などのグループ会社においても、現在自主的な調査を進めている。
 日本生命では、今回の事案を重く受け止め、発生原因を踏まえた再発防止策に全社を挙げて取り組むことで信頼回復に努めるとしている。

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