ソニーフィナンシャルグループ ソニーグループからパーシャル・スピンオフ 東証プライム市場へ上場 当期純利益4%増820億円の見込み
ソニーフィナンシャルグループ(ソニーFG)が9月29日、東京証券取引所プライム市場に上場した。同社は、ソニー創業者の一人である盛田昭夫氏が1979年に設立した生命保険事業に端を発し、ライフプランナーによる営業で業績を伸ばし、その後、ダイレクト損害保険、インターネット銀行へ参入。現在では介護事業やベンチャーキャピタル事業を包摂する金融グループとして、業容を拡大し続けている。(本日2面、5面に関連記事)
ソニーFGは9月29日、「親会社及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」を発表、9月29日に同社株式が東京証券取引所プライム市場に上場し、10月1日付でソニーグループ㈱(SGC)が保有していたソニーFGの普通株式をSGC株主に現物配当し分配することによるソニーFGのパーシャル・スピンオフの効力が発生したと発表した。SGCが保有するソニーFG株式の83.60%がSGC株主に現物配当により分配され、SGCの所有する議決権の数は1172万2182個の16.40%となり、同社は「その他の関係会社」になった。新規上場したソニーFGの資本金は200億2925万円で、発行済株式数は71億4935万8214株。
同社は8月8日の取締役会で、「当社株式の需給状況に対する影響を緩和すること、また、資本効率の向上を図ることを目的とし、機動的な自己株式取得を可能とするため」として自己株式の取得枠を設定、10億株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合:13.99%)を上限に、9月29日~26年8月8日の期間に、①東京証券取引所における取引一任契約に基づく市場買付②自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)による買付―による自己株式取得を決議していた。9月29日、ToSTNeT―3による買付については、同日の株価終値173.8円で、買付の委託を行ったことを発表、10月17日現在、8月8日取締役会決議により取得した自己株式の累計は、株式の総数で1億9696万0100株、取得価額の総額で319億2548万2666円となっている。
26年3月期連結業績予想を公表
ソニーFGは9月29日、東京証券取引所プライム市場への上場に併せ、2026年3月期の同社グループの日本基準に基づく連結業績予想について公表した。それによると、経常利益は1220億円(前年比171.8%増、前年同期実績448億円)、親会社株主に帰属する当期(四半期)純利益820億円(同4.1%増、同787億円)、1株当たり当期(四半期)純利益11円47銭(前年同期実績11円02銭)、1株当たり配当金3円50銭(同0円00銭)との予想を示した。25年4月の同社取締役会で決議された連結事業計画を基に、25年8月までの実績と進捗状況を反映したもの。
報告セグメント別の業績予想では、生命保険事業が経常利益990億円(前年比380.2%増、前年同期実績206億円)、損害事業が経常利益85億円(同18.0%増、同72億円)、銀行事業が経常利益185億円(同2.0%減、同188億円)としている。
報告セグメント別の主要な前提条件として、生保事業については、26年3月期は、ALM(資産負債の総合管理)の考え方に基づくリバランスを目的とした債券売却を当期も前期同様に実施することとし、前期を約220億円上回る売却損を見込んでいることや、前期に計上した危険準備金の取崩益(約120億円)が剥落する一方、財務改善施策の一環である米ドル建保険契約の一部出再(左記事参照)による責任準備金戻入益(約1100億円)を見込んでいることから、経常利益は前期比で大きく増加し、990億円(前期比380.2%増)を見込んでいるとした。前記以外について、保険料収入や保険金支払・事業費等については、保有契約の拡大等により前期よりも増加する見込みだが、解約が前期よりも減少することにより解約益が減少する見込みであるため、これらの要因により経常利益は前期比でほぼ横ばいを見込んでいるとした。保険料収入・保険金等支払については、保有契約に基づき見込まれる保険料収入や保険金等の支払額に加え、営業施策等を踏まえた新契約の獲得も勘案した金額を見込んでいるという。なお、26年3月期の第1四半期連結累計期間に、前述のALMの考え方に基づくリバランスを目的とした債券売却の一部を実施済みで、一般勘定で有価証券売却損を計上したことなどにより、第1四半期は637億円の経常損失(前年同期は218億円の経常損失)となっている。
損害保険事業については、新契約獲得のためのマーケティングコスト等の増加により営業費および一般管理費が増加するものの、保険料改定効果により損害率が改善する見込みであることなどから、経常利益は前期比で増加し、85億円(前期比18.0%増)を見込んでいるとした。なお、保険料収入や保険金等支払については、保有契約の拡大等による増加を織り込んでいるという。
ソニーフィナンシャルグループは9月25日、29日の東京証券取引所プライム市場への上場に先立ち、東京都中央区の時事通信ホールで「上場直前メディアセッションデイ『なぜ金融グループが“感動”?』」を開催した。遠藤俊英代表執行役社長CEOは、グループの新ビジョン「感動できる人生を、いっしょに。」を紹介し、「健康寿命」「資産寿命」「感動寿命」の三つの寿命を事業の礎として顧客の人生に寄り添う企業姿勢を示した。また、グループ各社社長が“第二の創業”を成し遂げるための成長戦略について説明した他、ソニー生命のライフプランナーも加わり、「スクラム構想」をテーマに今後の展望を語るトークセッションを行った。
冒頭にあいさつした遠藤社長CEOは、セッションのテーマ「なぜ金融グループが“感動”?」について触れ、「感動」は、人と人との間で期待を超えた際に生まれるものであり、金融事業者として重視すべき理念であると同時に、ソニーグループが最も大切にする価値でもあることから、感動を軸に価値提供を拡張していく決意を込めてテーマに掲げたと述べた。
また、上場の先にあるグループの成長と顧客への貢献をあらためて問い直し、企業理念として言語化したとして、生きる土台である「健康寿命」と経済的な健全性である「資産寿命」、心を動かす体験を通じて自分らしく生きる「感動寿命」の三つの寿命
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