東京海上日動 NTTデータライフデザインと資本業務提携 「ワーキングケアラー」支援へ 法人営業支援、サービス開発で新介護事業に参画
東京海上日動は10月24日、NTTデータ、NTTデータライフデザイン社と共に大手町ファーストスクエアビル(東京都千代田区)で「ワーキングケアラー」の支援事業に関する記者説明会を開催した。東京海上日動と、NTTデータが8月に設立した㈱NTTデータライフデザインが資本業務提携を締結したことが発表された。城田宏明社長が登壇し、同社が持つ企業顧客のネットワークを生かした法人営業の支援やサービス開発などで同事業に参画していく考えを示した。
説明会ではまず、NTTデータの鈴木正範社長が今回の介護事業に着手するに至った社会課題解決への取り組みについて紹介した。
同社では、企業や行政にシステムを個別納品する従来型のSIer(システムインテグレーター)から、デジタルの力で日本を元気にする「企業と社会の変革のパートナー」へと役割がシフトしていく中で、企業や行政の先にいる生活者の視点でさまざまな課題を解決するために、社会システム全体の設計・実装に取り組んでいると説明。また、2020年に新型コロナウイルスが感染拡大したことにより、日本社会がデジタルでつながっていないという課題が浮き彫りになったことから、この課題の解決を図るために、同年10月に「ソーシャルデザイン推進部」を立ち上げ、注力する分野の一つとしてウェルビーイングに取り組んだことが、NTTデータライフデザインの設立につながったと説明した。
次に、NTTデータライフデザインの濱口雅史社長が、新介護事業「ケアラケア」について紹介した。
働く人のライフデザインを支援し、ウェルビーイングな人生づくりに貢献することをミッションに掲げる同社は10月から、働く家族介護者「ワーキングケアラー」の仕事と介護の両立という社会的課題の解決を図る「ケアラケア」の提供を開始。同サービスは企業向けと個人向けに分かれており、企業向けでは、今年4月から段階的に施行されている改正「育児・介護休業法」への対応として、「従業員の介護両立の実態調査・報告」「パーソナルレポート」「パーソナルカウンセリング」「未来介護予測シミュレーション」「制度対応各種コンテンツ」などの包括パッケージを提供する。一方、個人向けでは、「コンシェルジュ(介護専門家)による相談・提案・伴走」に加え、「見守り・駆け付け」や「通院付き添いや家事代行などの生活支援サービス」といった介護に直面する従業員への個別支援を提供する。
「ケアラケア」では、「共創パートナー」として全国の介護関連事業者と連携しながら、一元化したサービスを提供する。また将来的には、サービス提供に関わるやり取りを「AI・データ基盤」に蓄積するとともに、介護のほか、ヘルスケア、医療、金融・保険など周辺産業との「パーソナルデータ連携」の仕組みを構築して、介護サービスの質の向上や共創による新サービスの創出なども視野に入れている。
濱口社長は今後の見通しとして、今年度から来年度にかけては、すでにサービス提供を始めた自社を含めたNTTグループで導入し、その後の数年間で共創パートナーシップの拡大によって販路・サービス・エリアを大幅に拡充した後、2030年にはデータ利活用による介護周辺領域への新たなビジネスの拡大を図っていくと説明。事業規模として導入企業500社、利用従業員数150万人、個人会員30万人、売上100億円を目指すとした。
最後に登壇した城田社長は、東京海上日動としての新事業への参画について説明。「お客さまの“いざ”だけでなく“いつも”を支える存在になるために、保険の領域にとどまらないソリューションを提供している」同社では、これまでも企業人事を取り巻く多様なリスクや課題に対応した商品・サービスを提供しており、介護分野ではグループ会社の東京海上日動ベターライフサービスを通じて介護事業を展開している。今回、NTTデータライフデザインと資本業務提携を結ぶとともに、東京海上日動が持つネットワークを生かした法人営業の支援や、東京海上日動ベターライフサービスのノウハウや知見を生かしたサービスの開発・共創という形でケアラケア事業に参画することで介護分野での取り組みをさらに深化させるとした。また将来的には、ケアラケア事業で蓄積したニーズやデータなどを活用した新たな保険・サービスの開発も検討していくという。
この後、登壇者と記者との間で質疑応答が行われた。NTTデータライフデザインとの提携理由について質問を受けた城田社長は、NTTデータ側から声を掛けてもらい、ワーキングケアラーの仕事と介護の両立という社会課題の解決への挑戦とビジョンに強く共感したことがきっかけだったとした上で、「当社は東京海上日動ベターライフサービスを通じて施設介護や訪問介護サービスの経験や知見を積んでおり、また、多数の企業の福利厚生制度の見直しを支援してきた実績があることから、両社で組ませていただくことでより良いサービスが提供できると考えた」と回答した。
損保協会は10月17日、損保会館で「交通事故紛争における被害者との向き合い方」をテーマに講演会を開催した。本講演会では、前半に(一社)関東交通犯罪遺族の会(あいの会)代表理事の小沢樹里氏・副代表理事の松永拓也氏による講演、後半に日本弁護士連合会の弁護士3人によるパネルディスカッションを実施した。交通事故で家族を失う、また重い後遺症などに苦しむ被害者遺族が、民事裁判で配慮を欠いた弁護士や保険会社社員の発言によってさらに精神的苦痛を受ける「精神的な二次被害」を防止することを目的に、被害実態や事例を踏まえて対応を考える機会として企画された。ハイブリッド開催となった当日は、ウェブ356人、対面79人の合計435人が参加し、本テーマへの関心の高さが示された。
冒頭、主催者である損保協会の宇田川智弘常務理事が開会のあいさつを行い、「交通事故紛争における被害者との向き合い方」をテーマに掲げた趣旨として、弁護士や保険会社担当者の言動が被害者・遺族を傷つける事例が指摘されている現状を踏まえ、業界全体で被害者の心情に配慮した対応を徹底する契機としたいと説明した。
続いて来賓として登壇した金融庁監督局保険課損害保険モニタリング長の矢野雅隆氏は、はじめに交通事故で尊い命を失った人たちとその遺族に哀悼の意を表し、「交通事故被害者やそのご家族が心ない言葉などに
(2週間無料でお試しいただけます)
