損保協会定例会見 代理店業務品質評価制度 ビジネスモデル変革の起点 代理店の意見踏まえ募集品質向上の制度設計にめど 自賠責専業代理店の取扱いは見直しの方向
損保協会は12月18日、日銀記者クラブで定例記者会見を開き、舩曵真一郎協会長(三井住友海上社長)が同協会の取り組みについて説明した。同協会長は「お客さまと社会からの信頼回復が最優先」と強調し、代理店募集を巡る課題や業界のビジネスモデル変革を背景に、募集品質向上に向けた制度設計の進捗状況を報告した。制度自体は8~9割整備された状況だとした上で、残る任期では運用面での実行に重点を置く考えを示した。
舩曵協会長は冒頭、大分市の大規模火災や青森県沖地震に触れ、犠牲者へ哀悼の意を表すとともに、被災地の一刻も早い復旧を祈念した。続いて「お客さまと社会からの信頼回復に向けた取り組みを最優先に進める」と述べた上で、損保協会の取り組み状況について報告した。
はじめに、「代理店業務品質評価制度」の取り組み状況について説明した。全国の代理店を対象に7~8月に初回の意見募集を実施し、約900件に上る意見をもとに改定版の評価指針と自己点検チェックシートを公表したと述べた。その上で、11月末を期限に再度意見を募った結果、約250件の意見が寄せられたと報告した。
寄せられた意見の中には「改定後の文章が非常に分かりやすくなった」「自己点検の重要性に気付いた」といった肯定的な評価が多かった一方、「文言が分かりにくい」といった指摘や、主に自賠責のみを扱う代理店からは「チェック項目の負担が大きい」という意見も多かったという。同協会長は、これらの意見を踏まえ自賠責専業代理店向けのチェック項目や表現の修正を検討し、来年度から本格運用に移行する考えを示した。
さらにチェックリストの運用について、単年度で終わらせず毎年実施し、フォローアップ点検を通じて実効性を高めていく考えを示した。併せて、保険会社と代理店の対話を高める仕組みづくりを進め、両者の意見交換を通じて把握した課題を協会として制度運用の改善に生かしていくと述べた。この「代理店業務品質評価制度」は損保業界のビジネスモデル変革の起点になるとし、必ず結果を出すという意気込みをあらためて示した。
次に、「企業におけるリスクマネジメント意識の向上」をテーマとした取り組み状況について説明した。11月19日に同協会が主催した「企業向けリスクマネジメントセミナー」では業界関係者による講演やパネルディスカッションが実施され、約700人の参加者から「参考になった」などの声が多く寄せられたという。
また、リスクマネージャーの重要性が高まっているとし、業界共通の育成プログラムを今後充実させていく考えを示した。このほか、金融庁と経済産業省が共催する「企業のリスクマネジメントの高度化に向けた検討会」の第1回が開催されたことにも触れ、企業の成長や国全体の経済発展にはリスクマネジメントの強化が不可欠との認識を示した。
次に、「保険会社向けの総合的な監督指針」等の改正を踏まえた同協会の対応について説明した。改正の主なポイントとして、①乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保②特定大規模乗合損害保険代理店の体制整備③(規制対象となる)特別利益の提供の範囲の拡大―の3点を挙げた。その上で、これらの見直しは顧客本位の業務運営を真に実現するためのものであり、形式的に制度に対応するのではなく、見直しの趣旨を正しく理解した上で取り組むことが重要だと述べた。
また、「修理工賃単価に関する対話・協議のあり方にかかるガイドライン」についても触れ、会員会社に対して車体整備事業者との丁寧なコミュニケーションに関する社内周知・研修を求めるなど、引き続き態勢整備を促していくと述べた。
最後に、「この半年間、ビジネスモデル変革に必要な施策の整備に努めてきたが、そのための手段は8~9割が出そろった。残る任期の半年間は、それらの手段を着実に実行し、あるべき姿の実現に努めることが協会の課題だ」と締めくくった。
その後、舩曵協会長は記者質問に応じた。比較推奨販売の厳格化について問われると、商品間の差別化が十分に進んでいないとし、「お客さまにとって最適な商品を選んでいただけるよう、販売者側が分かりやすく示していく必要がある」と述べた。併せて、関係者間でこの課題に対する共通認識が高まりつつある今こそ、体制整備を進めていくことが重要との考えを示した。
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