損保協会 ガイドライン等踏まえた会員会社取組み状況 フォローアップアンケートの結果公表 「便宜供与適正化」「出向者派遣」についても調査
昨日24日付で掲載した損保協会舩曵協会長ステートメントでも言及されているように、損保協会では、顧客・社会からの信頼回復に向けた取り組みとして2023年から各種ガイドライン等の策定・改定を順次行い、会員会社の実効性ある取り組みを後押しするため、各社の取り組み状況を定期的にフォローアップし、業界全体の取り組みレベルの底上げを図っている。11月に第3回目となるフォローアップアンケートを実施し、その結果をこの12月10日に公表している。今回から新たに「損害保険会社による便宜供与適正化ガイドライン」をフォローアップの対象に加えたほか、「損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドライン」等は改定後の内容に基づきフォローアップを実施している。
今回のフォローアップアンケートは、損保協会会員会社31社を対象に10月30日~11月12日の期間に実施された。「「顧客本位の業務運営」および「健全な競争環境の実現」の観点で実効性のある取り組みが行われているか」について、①業界で実施した取り組みを踏まえ、会員各社の規模・特性に応じた適切(必要十分)な取り組みが行われているか②業界で実施した取り組みが現場に浸透し、お客さまに対するものも含め効果が表れているか③取り組みが一時的なものでなく、今後も現場で意識され続けるものとして実施されているか―を着眼点として実施されている。
①の「ガイドライン等を踏まえた社内方針・ルールの整備および実効性ある取り組みの進捗状況」は以下のとおりだった。
▽損害保険会社による便宜供与適正化ガイドライン(2025年9月策定)
社内ルール等整備(体制整備)については48%(31社中15社)が、監査の実施方法(個社取り組み状況)については59%(22社中13社)が取り組んでいるという結果だった。損保協会では、「この数値は「全ての整備が完了した社」をカウントしたもの。社内規定が複数にまたがっている社も多く、「一部の整備が完了した社」を含めると71%に達する。各社における監査態勢の整備も着実に進められており、現在整備していない社については、全社で今後整備する予定があることを確認した」とコメントしている。
▽損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドライン(24年9月策定、25年9月改定)
統括部門の設置(体制整備)については86%(22社中19社)、社内ルール等整備(体制整備)については64%(22社中14社)、情報漏えいの防止(実効性の確保)については90%(21社中19社)が取り組んでいるという結果だった。損保協会では、「統括部門は大半の社で設置されていることを確認。社内ルール等の整備が完了している社は64%であり、25年9月のガイドライン改定を踏まえて引き続き整備を行っている社も一定数ある。情報漏えいの防止については、「予定がある社」も含めると、全社で実効性の確保に向けた取り組みが進められていることを確認した」としている。
また、②③の「社内方針・ルールに沿った実効性のある取り組みの進捗および現場での課題の把握状況」は以下のとおりだった。
▽政策保有株式に係るガイドライン(24年9月策定、25年9月改定)
社内ルール等整備(体制整備)については93%(15社中14社)で前回アンケートから増減なし、社内ルール等遵守(実効性の確保)については79%(14社中11社)でやはり前回アンケートから増減なし、適切で規律ある行動(課題把握と改善)については93%(14社中13社)が取り組んでいるという結果だった。損保協会では、「各社における社内ルール等整備、実効性の確保、課題把握は概ね適切に行われていることを確認。多くの社で政策保有株式に関する縮減方針を定めた上で、縮減に向けた企業への説明や交渉等を進めており、売却は着実に進展していることを確認した」としている。
▽企業向け「リスクマネジメントと損害保険」(24年7月作成)
企業のリスクマネジメント力向上(個社取り組み状況)については85%(20社中17社で前回アンケートから5%低下―各社における企業向け商品の新規取扱い開始および廃止等に伴う変動)、企業のリスクマネジメント力向上(現場への浸透)については100%(17社中17社で前回アンケートから6%上昇)、企業のリスクマネジメント力向上(実効性の確保)については82%(17社中14社で前回アンケートから4%上昇)が取り組んでいるという結果だった。損保協会では、「企業のリスクマネジメントを支援する取り組みを多くの社で実施。対象となる全社で現場への働きかけが行われていることを確認した」としている。
▽損害保険会社の独占禁止法遵守のための指針/保険契約引受にかかる独占禁止法上の留意点(23年12月改定/24年3月策定)
独占禁止法遵守状況の確認(実効性の確保)については81%(31社中25社で前回アンケートから13%上昇)、独占禁止法遵守状況の確認(課題把握と改善)については81%(31社中25社で前回アンケートから7%上昇)が取り組んでいるという結果だった。損保協会では、「実効性の確保は漸進しており、体制整備を含め、引き続き各社の取り組みを後押ししていく。今後の課題として、時間が経過していく中での、社員意識の維持を挙げる社もある」としている。
▽損害保険の保険金支払いに関するガイドライン(23年11月改定)
お客さまのための制度運営の徹底/自動車修理工場に対する適切な損害調査(実効性の確保)については100%(16社中16社で前回アンケートから0~12%上昇)、入庫紹介の適切な運用/自動車修理工場に対する適切な損害調査(課題把握と改善)については100%(16社中16社で前回アンケートから6%上昇)が取り組んでいるという結果だった。損保協会では、「各種取り組みについて、全ての社で対応が完了(いずれの項目も100%に到達)。技術アジャスターの不足に対する改善に向けた取り組みとして、事務処理を効率化した社を確認した」としている。
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は2027年4月の合併を予定しており、保険金支払部門では全国規模で遠隔地の共同調査体制やシステムの共同利用など連携を進めている。石川県で発生した震災や水災を契機に、これまでも両社は現地の被災状況を実際に確認するとともに、個社の有志によるボランティア活動に参加し地域貢献を継続してきた。今回両社は北陸エリアで業務面以外の新たな連携を開始。あいおいニッセイ同和損保北陸損害サービス部の河合信幸部長と三井住友海上北陸損害サポート部の武藤伸一郎部長がトップ間で協議し、被災地である石川県で保険会社ならではの専門性を生かして何か地域の役に立つ防災・安全の取り組みができないかを検討し、主催者である能美市からの理解も得て、参画が実現したという。参加にあたっては、両社の保険金支払センターの管理者や若手社員が防災・安全をテーマにアイデアを出し合い、各社のツールを活用した体験型のイベントブースを企画した。
今回のイベントについてあいおいニッセイ同和損保の河合部長は、「今回『能美市防災フェスタ2025』に三井住友海上と共に共同出展させていただく機会をいただいた。『近年頻発している自然災害に備え、市民が災害時に自ら判断・行動できるよう』との開催趣旨に照らし、『災害への備え、被災生活における知恵』としてプラグインハイブリッド車の非常時給電の体験、『被災後の注
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