保険会社の経営状況を把握したり、商品開発を行ったりするためには、さまざまな統計データを読み解き、理解する必要がある。これまでに、保険に関する統計解析の理論について論じた文献はあったが、保険事業に携わる実務者が、実務として統計処理や分析を行うとき、参考となるような考え方をまとめた本はなかった。また、保険事業の統計分析に携わる実務者は人数も少なく、せっかく身につけた知識や技術をなかなか共有することができなかった。本書は、筆者の経験と知識に基づき、日本の損害保険業の実際に照らして、具体的な統計処理の方法や分析するにあたってのデータの読み方と考え方を集大成したもの。特別な数学的知識がなくても理解できるようにまとめた画期的な入門書となっている。
≪目 次≫
1. 保険会社における統計分析
1-1. 統計分析の目的
1-2. 監督会計と管理会計
1-3. 管理会計における統計の活用
1-4. 監督会計と管理会計の視点の違い
1-5. ポートフォリオ分析
2. トレンドの分析
2-1. 観察期間
2-2. 契約統計の動き
2-3. 損害統計の動き
2-4. 商品改定の影響
2-5. アンダーライティング基準改定の影響
2-6. 営業施策による影響
2-7. 環境変化の影響
2-8. レポートの作成
3. セグメント分析
3-1. セグメントの切り分け
3-2. GLMを使った分析
3-3. GLMのためのデータ整備
3-4. GLMによるモデル
3-5. GLMの応用
3-6. セグメント分析の結果の利用
3-7. 更改率への応用
3-8. 技術的な問題
3-9. 料率改定
4. 将来収支分析
4-1. 将来収支分析を行う目的
4-2. 保険会社のソルベンシー
4-3. 将来収支分析の構成要素
4-4. 長期保険の収支分析
4-5. 将来収支分析を行う単位
4-6. 将来収支分析におけるシナリオ
4-7. 保険料予測
4-8. 発生保険金予測
4-9. 保険引受にかかるリスクの分類
4-10. 損害保険事業のリスクモデル
5. 損害保険統計
5-1. 管理会計と指標
5-2. 契約統計における指標
5-3. 損害統計における指標
5-4. 集積損害
5-5. 損害保険統計をとるにあたって
6. データベース構築
6-1. データの構造
6-2. エクスポージャ・ユニット
6-3. 保険料
6-4. 損害
6-5. 顧客情報
6-6. その他の情報
6-7. データベース完成までの道のり