スリルはお好きですか
絶叫マシンという言葉がある。遊園地の遊具で、ジェットコースターに代表されるような、高い加速度や速度などで思わず絶叫してしまう乗り物のことである。絶叫マシンマニアも少なくないらしいが、私は好きだ。20代のとき、海外旅行先でもわざわざジェットコースター目当てに遊園地を選び、さんざん絶叫してきたのがいい思い出だ。風を切る爽快感がたまらない。
その後、あちこちのジェットコースターに乗って楽しんできたのだが、先日同窓会で友人が、健康上のリスクがあるから、ジェットコースターには年齢の上限さえある、だからやめろと言い出した。空中をふわりと舞う無重力のような感覚を好み、スリルを追求するのは邪道であって、健康に良いわけがないという話になったのだ。
そこでジェットコースターによる健康被害を調べた。詳しくは割愛するが、血圧や心拍数上昇をはじめとし、振動や急激な横揺れなどによる頸椎損傷や、急性動脈乖離、その他にも多くの例が挙げられている。これを見て、絶叫マシンに酔いしれ、マニアを気取り、ドーパミン放出していた私は少しへこんだ。
保険では、ジェットコースターは交通乗用具の範囲から除外されており、支払い対象ではないことがほとんどだ。ジェットコースターだけでなく、遊園地で専ら遊戯施設として使用されるものは除外されている。約款には詳しく書かれているのだが、いかにも危なそうな遊具だけでない、たとえば海で使う子ども用のゴムボートなども除外だ。例外はあるが、原則娯楽のために使うのは自己責任ということかと理解した。海外では遊具だけでなく、プールや海辺、遊歩道などにも“At your own risk"(自己責任で)と書かれている場面が多くある。自己責任だからよい、というわけではないが、自称絶叫マシンマニアは人には薦めず自分だけで楽しむしかないか。(こゆ美)