うず
勉強しなかった
会社のトップとなり、母校の学校法人評議員となった後輩の講演会に参加した。その中で思わず笑みが出てしまった逸話が披露された。
各界のそうそうたるメンバーが集まったその評議委員会で、学長が諸氏に要請した言葉だ。いわく「皆さんは、現役の学生たちに『学生時代勉強しなかった』と決して言わないでほしい。皆さんは勉強したから卒業できたのです。勉強したから社会人として立派になられたのです」と訴えたというのだ。
成績不良の学生に教授が少しは勉強しろと指導すると、「今、大活躍されている○○先輩は『学生時代は勉強しなかった』とおっしゃっていた」と。だから自分も大丈夫だと思ってしまう学生が本当にいるとのこと。
ご本人は運動部で大活躍されていた方であり、学者になったわけでもないので『勉強しなかった』との発言を聞いても当方に違和感はない。かく言うコラム子もクラブ活動や学業以外の他のことにのめり込んでいた時期があり、程度の差こそあれ、ほぼ同様の状態であったともいえる。
最近の若い学生は根が真面目なのか、何か一つの分野に早くから自身の行く道を決めてしまう傾向がある。その興味を極めるためならその他のことはおろそかにしてもよいと思って、留年や退学も厭わない者も少なからずいるらしい。そして、入社早々退職する若者とも何かつながるものを感じている。
若くしてその才能を発揮して活躍している方ももちろんいるが、多くの若者には未来に思わぬ道が開けているものだと思う。将来それを的確につかむためにも、意味が異なるかもしれないが、広く大きな視野を持って『学生時代は勉強』してほしい。(朗進)