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AIは感情を持てるのか

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 AI技術が日進月歩で進化する中、「AIは感情を持つことができるのか」という問いにおいて議論が続いている。
 そもそも感情の定義自体が不明確ではあるが、一般的に感情とは、外部からの刺激や内部的な体験に対する主観的な反応、すなわち、喜びや悲しみ、怒りなどの気持ちを指すとされている。
 確かに現在のAIは、人間の声や表情、行動データを分析して相手の感情がどのような状態にあるのかを推測し、それに応じた反応を示す技術を備えていることから、あたかも感情を持っているかのように見えるが、これらはあくまでもデータに基づく感情の「模倣」に過ぎず、主観的な反応ではない。こうした観点から見ると、AIは感情を持たないと言えるだろう。
 とはいえ、AIが高度な感情分析技術を備えているのは事実だ。保険業界においても、AIはカスタマーセンターにおける接遇の向上や、保険商品の提案の最適化といった形で活用されており、顧客満足度の向上に寄与しているのは間違いない。
 それでもやはりAIの能力には限界がある。人間は相手と気持ちを共有することで絆を深めるが、AIには人の感情を受け止め心の底から共感する力はない。また、時にはデータに基づく合理的な判断ではなく、感情に従った柔軟な対応が最良の答えを導き出すこともある。さらに人間は、感情を基に創造性を発揮して全く新しい解決策を生み出すことができるが、データを基盤とするAIには未知の領域に挑戦することはできない。
 感情は人間だけに与えられた強みだ。AI時代に突入した今、人は効率化で得られた時間を、感受性を磨くために活用すべきであり、心の通った人と人との交流や、自然・芸術との触れ合いを通じて共感力と創造力を高めていく必要がある。AIの進化によって失われかねない人間ならではの能力に目を向け、それを守り育むことこそ、豊かな社会を築くための重要な鍵になるのではないだろうか。(糸)

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