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新ヨーロッパ通信

「褐炭から再エネへ!」ドイツ企業の取組み

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 ドイツの電力業界では、化石燃料から再生可能エネルギーに乗り換える企業が増えている。その例が、旧東ドイツのコトブスに本社を持つラウジッツ・エネルギー管理採掘会社(LEAG)だ。
 同社のクラーマー社長は今年1月27日、「旧東ドイツの電力の安定供給を確保するなどの条件が整えば、2038年に予定されている褐炭火力発電設備の廃止を5年早める用意がある」と発表した。同氏は「今後われわれは、再エネによる発電とグリーン水素の活用を経営戦略の中心に据える」と強調した。グリーン水素とは、風力や太陽光などの自然エネルギーを使って作られた水素のことだ。LEAGは25年から38年までにラウジッツ地方などで11基の褐炭火力発電設備(合計発電容量約688万キロワット)を廃止する予定だった。
 LEAGは、「ギガワットファクトリー」計画の名の下に、褐炭採掘地や褐炭火力発電所の跡地に陸上風力発電所や太陽光発電所を新設しつつある。同社は再エネの合計発電容量を30年に700万キロワット、40年に1400万キロワットに増やすという目標を打ち出した。具体的には、イエンシュヴァルデ褐炭採掘場の跡地に17基の風力発電プロペラを設置する計画など、10件のプロジェクトを進めている。これらのプロジェクトの合計発電容量は約124万キロワットに達する予定だ。
 イエンシュヴァルデ褐炭火力発電所の跡地には、再エネ電力で水を電気分解してグリーン水素を製造する設備を建設する。将来、燃料を水素に切り替えられるガス火力発電所も新設する方針だ。
 LEAGは、褐炭の採掘地を新しいインフラとして活用することを重視している。同社はコトブス市の北東にある人口湖に、広さ16ヘクタールの水上に浮かぶ太陽光発電所(容量2万1000キロワット)を建設する。この発電所は完成すれば、ドイツで最大規模の浮体式太陽光発電設備になる。この人工湖は褐炭の露天掘りの採掘場に川の水を注いで作ったもので、夏には市民が水泳などを楽しむ憩いの場としても利用されている。
 LEAGが打ち出した方針は、19年に再エネ発電中心の経営戦略を発表した大手電力会社RWEの路線と酷似している。経営の主軸を再エネにすれば、機関投資家からの資金調達も容易になる。ドイツの電力会社は、「化石燃料を使った発電の時代はまもなく終わる」と考えているのだ。この国の発電事業は、大きな転機を迎えている。
 (文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
 筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92

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