メンバーシップ型業界

　コラム子がかつて勤務していた会社を退職し、現在は同じ業界のＡ社で営業職、および指導者として大活躍している後輩と久しぶりに懇談した。
　話題は多岐に及んだが、本欄でもかつて取り上げた世間では「ノルマ」と誤解されている営業成績「目標」や「基準」についての考え方に、知り合った他社の方の情報を含めて各社、個人で微妙に考え方、捉え方が異なるという話には興味をそそられた。
　「目標はなんとしても絶対に達成しなければならない」とし、高い目標を会社から期待されていることを自己のモラールアップにつなげている人間がいる一方、「達成すれば次の目標が高くなり、そこはよく計画して」と考える人間もいる。そんな中で目標達成者を「固定給化」との関連でどう評価していくかなど、それぞれ各社の社風の違いを含めて、課題と考えているようだった。
　そんな少し重い会話の最後に、もとより転職について抵抗が全くない本人だが、「将来転職するとしてもこの業界から離れることは考えていない」という発言にも注目した。保険業界に対する思いは昔と全く変わっていないことに驚いた。
　別件で、代理店支援に大活躍されているＨ社の若手職員からも、職場における人間関係、職務における種々のストレスの課題について聞かされたことがある。本人はまだ転職までは考えていないようだったが、有能な人間なので、いずれお誘いがあるかもしれない。
　転職の一般化に伴い即戦力として職能別に採用する「ジョブ型雇用」が話題となって久しいが、同じ業界の中で、将来の人材を育てていくいわば「メンバーシップ型業界」があっても良いのではないかと思ってしまった。（朗進）