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移民受け入れを加速するドイツ(上)

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 ドイツは「優秀で勤勉な外国人」の受け入れを加速する。ショルツ政権は経済界で深刻化しつつある人材不足を緩和するため、高い技能を持つ外国人の移住を促進する方向で法律を大幅に改正する。
 ショルツ政権は、カナダが実施しているポイント制度を導入する方針だ。その狙いは、経済界が欲している専門職業人のドイツへの移住を促進することだ。法案によると、職業に関する資格や技能、学位、過去の就労年数、ドイツ語能力、その他の言語の能力などの項目が「チャンスカード」と呼ばれる書類に記載される。例えば、特殊半導体の設計者、ITエンジニアやデータサイエンティストなど、経済界が喉から手が出るほど欲しがっている人材には高得点が与えられ、ビザの取得が容易になる。
 さらにショルツ政権は、外国人が出身国の政府によって認証された職業資格と、2年間にわたって働いた経験があることを立証できれば、滞在許可の取得を容易にすることも検討している。これまでは、外国で取得した職業資格や学位をドイツの役所に認証させるのはかなり面倒だったが、将来はこうした審査手続きが簡素化される。
 さらに、外国人が長期間ドイツに住みたいと思うようにインセンティブも用意する。例えば、現在では、ドイツの滞在許可を取得してから8年たたないとドイツ国籍を取得できないが、ショルツ政権はこの期間を5年間に短縮する。また、ドイツは初めて二重国籍を許可する。これまでドイツ国籍を取るには元の国籍を捨てなくてはならなかったが、今後は元の国籍を保持できる。
 また、外国人の子どものドイツ国籍取得も容易になる。ドイツに住む外国人の夫婦のうち、夫か妻が5年間働いた後に子どもが生まれた場合、子どもは自動的にドイツの国籍を取得できる。
 ショルツ政権が外国人受け入れに関する規定を大幅に緩和する理由は、同国が特殊技能を持つ専門職業人の不足に悩んでいるからだ。
 ドイツ連邦労働局によると、ドイツでは毎年40万人の労働力が不足している。特にIT部門での人材不足は13万7000人と過去最高の水準に達している。経済界では今後、自動車や携帯電話などに使われる特殊半導体の設計、IoT(物のインターネット)、データレークの分析による新しいビジネスモデルの開発、人工知能、量子コンピューターなどに関する知識を持った人材への需要が急増するが、国内だけで適した人材を見つけるのは困難と見られている。
 (つづく)
 (文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
 筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92

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