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うず

「留年保険」

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 某大学で保険学を講義しておられるN先生と久しぶりに懇談した。席上、先生が日常講義を通して接している「現代学生気質」について、しばし盛り上がった。そして文字通り「面白い」話を伺うことになった。損害保険に関する試験問題で、自己の認識するリスクと保険との関係について論述させたところ、解答の一つに、題して「留年保険」というのがあったというのだ。
 学年末試験に失敗して、単位不足による「留年」や、4年生なら卒業延期による「入社内定取り消し」等による「経済的損失」を補てんする保険を提案し、加入申し込みに際しての「モラルリスク」の存在やその対策にも触れたもので、先生も思わず笑ってしまったとのこと。
 いわゆる「落第」を経済的リスクとして捉えているところが、何か興味深い。そして、そこまで勉強しているなら、もう少しまともなリスクが思い当たらなかったのかと突っ込みを入れたくなる話でもあった。学費の負担増や内定取り消しによる給与の滅失を「被保険利益」や「保険価額」にしたのであろうが、金額をどう特定するのだろうか。
 そもそも、単位不足で留年し大学生活を5年以上経験したが、その経験を踏まえて大活躍され、後に役員にまで栄進した方々を何人も知っている身としては、それは単なる「経済的損失」どころか得難い「利益・財産」にもなり得るのではないかと思えてしまう。
 もっとも、本欄にも時折登場する薬学者の実兄に話せば、「何を言うか、それは単にお前の努力が足りなかっただけだろう」と、約50年前にコラム子が叱咤された言葉がそのまま返ってくるだけなので、この話は内緒にしたい。(朗進)

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