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A君だけには

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 高校の後輩にA医師がいる。某医科大学の教授で日本の○○医療部門の第一人者として活躍している。付属病院でA先生に診察してもらうには、特別な状態でもない限り予約はほぼ難しく、診察してもらえれば本当に幸運なことなのだとも聞いている。
 先日母校を訪ねた時、たまたま同級生だったBさん、若い教員として当時指導をしていたC先生とお話しする機会があった。A先生の話題になると、なぜかBさん・C先生ともに笑顔で「できればA君だけには診てもらいたくないですね」とおっしゃる。無論笑顔での言葉であるが、そこには何がしかの本音も含まれているようだった。
 A先生は高校生時代、某公園で学校をサボってたむろっていた時に補導注意を受けた私服警察官に「あなた、本当に警察の人ですか?だったら警察手帳を見せてください」、提示されると「それ本物ですか?証拠は?」と突っかかっていった逸話を持つ相当破天荒な生徒だったらしい。他にも数々の武勇伝をお持ちらしい。
 時は流れ、母校で後輩たちに対して行ったA先生の人間味あふれた優しさと誠意に満ちた講演を、同窓会幹事として聞いたことがあるコラム子は思わず笑ってしまった。
 そして、自分も保険関係についてそれなりに相談を受ける身であるが、高校時代のクラスメイトから相談されることがめったに無いのは、職務の達成や熟達の程度の差こそあるものの、高校生時代同じような生活態度だったことが影響しているのかも知れないと反省した。
 読者諸氏にも思い当たる方がいらっしゃるかも知れないが、だからこそ昔の知人友人からの思わぬ相談には、たとえ多忙でも誠心誠意答えねばならぬと肝に銘じている。(朗進)

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