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特集 関東大震災から100年

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寄稿「関東大震災100年に寄せて」 
 
 行政各部の施策の統一を図る防災担当大臣、生命保険協会長、日本損害保険協会長、外国損害保険協会長から寄せられた防災に関するコメント。
 自然災害が激甚化し、今後30年以内には約70%の確率で首都直下地震や南海トラフ地震が起こるといわれ、いざという時の備えが不可欠となった昨今、あらためて行政や各団体の自然災害に対する思い、防災・減災に向けた取り組みを紹介する。
 
 

■内閣府 特命担当大臣(防災・海洋政策) 谷 公一 

谷防災担当大臣

 
 保険業界の皆さまには、地震保険、火災保険、傷害保険などにより発災後の被災者生活再建に御尽力いただいており、深く感謝申し上げます。
【関東大震災から100年】
 今年は、大正12年(1923年)に発生した関東大震災から、100年の節目に当たります。関東大震災は、その発生日である9月1日が「防災の日」と定められたように、近代日本における災害対策の出発点となりました。私たちは、この節目の年に、今一度、大災害への備えを新たにし、災害対策の一層の強化と国民一人一人の防災意識の向上に取り組まなければなりません。
 振り返れば、我が国の災害対策は、大災害の教訓を今後の対策に生かすことで強化されてきました。関東大震災以降も、伊勢湾台風(1959年)や阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)を始め、自然災害による度重なる大規模被害を受けて、地震対策の強化はもとより、風水害対策や火山対策の強化、災害対応のデジタル化、被災者支援の充実・強化や防災教育の推進など、我が国を取り巻くさまざまな環境の変化等に対応しながら、順次、災害対策の強化を図ってまいりました。
 今後とも気候変動の影響による自然災害のさらなる激甚化・頻発化が見込まれ、一方、南海トラフ地震や首都直下地震、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震をはじめとした大規模地震の発生が懸念されるところです。
 
【保険業界と防災】
 内閣府においては、国民・家庭・事業所のレベルでの防災意識を高め、日常生活における災害への備えを促進するため、民間企業等に内閣府とコラボレーションしていただく事業(「災害への備え」コラボレーション事業)の参加企業等を募集しています。
 既に保険業界からも本事業に多くの企業様にご賛同いただいております。ご賛同いただいた保険会社の皆さまにおかれては、災害リスクに備えるための損害保険の普及、ホームページやSNS、パンフレット等による防災関連情報の発信、BCPや事業継続力強化計画の策定支援などの取り組みを行って頂いていると伺っております。
 また、保険業界として、地方公共団体と連携協定を締結し、職員、市民、企業への防災意識の啓発、防災知識の普及、防災訓練、セミナーやイベント開催などに取り組んで頂いたり、被災後の損害調査で調査員が訪問するにあたり、従来は電話等での予約を行っていたところ、スマートフォンで訪問予約できるシステムの導入により、日程調整の時間が短縮され、結果として迅速な保険金支払いを可能とするなど、防災に関してさまざまな取り組みを行って頂いているものと承知しております。
 今後とも、災害への備えや被災時の生活再建に貢献していただいている保険業界の皆さまの果たす役割はますます大きく、かつ重要になっていくものと考えております。引き続き、我が国の防災力の大事な一翼を担っていただけるよう、よろしくお願いします。

 
■一般社団法人 生命保険協会 会長 清水 博

生保協会 清水会長

 
【災害時に生命保険業界の果たす役割について】
 これまで生命保険業界は、関東大震災や世界大戦等に加え、近年では東日本大震災をはじめとする大規模自然災害、新型コロナウイルス感染症の世界的流行等の中にあっても、相互扶助の理念の下、一貫して皆さまに安心を提供し、国民生活の向上を支えるべく取り組んでまいりました。
 この理念の下、災害が発生した際には、生命保険事業の社会的役割を丁寧かつ迅速に果たすことが重要となります。生命保険協会の役割は、会員各社がその使命に向けて一丸となって取り組むことが出来るよう、後押しすることにあると考えております。
 生命保険協会では、大規模な災害等が発生した際、大規模災害対策要綱に則り、協会長を本部長とする対策本部を設置することとしております。この対策要綱の基本方針として、被災された方に一刻も早く安心していただけるよう最大限の配慮に基づいた対応を行うこと、および、会員各社による被災された契約者等への対応を積極的に支援することと定めております。この方針の下、義援金の寄贈や救援物資の提供等の被災地への援助、情報収集と窓口の一元化、保険料払込猶予期間の追加延長措置、保険金等の簡易支払に関する措置等の各種支払に関する対策、お客さまへの周知活動等の各種対策を講じることとしております。
 また、生命保険協会では生命保険契約照会制度を運営しております。災害救助法が適用された地域において、家屋等の流失等により、生命保険契約に関する手がかりを失い、保険金の請求を行うことが困難な場合等においては、生命保険契約の有無のご照会を無料で受け付けております。
 さらに、東日本大震災では、行方不明者も多く、また、原子力発電所事故の影響で各地に避難されている方も多かったため、会員会社でお客様の安否確認活動を進めるとともに、生命保険協会として、会員各社が実施している安否確認の活動事例や進捗状況等を集約し、フィードバックすることで、各社の活動の底上げと、業界一丸となって対応する意識の醸成に取り組みました。
 今後の災害に向けた対応として、これまでの経験を踏まえて対策要綱を定期的に見直し、平時から最善の対応を準備しておく必要があると考えております。2012年9月以降、会員会社と連携の上、速やかな被災状況の確認や代替連絡手段の機能確認を目的とした訓練を毎年実施しており、実際に大地震が発生した際に対応出来る体制の確保に努めております。
 今後も生命保険業界が社会的役割を果たしていくため、生命保険協会はチームワークの核として機能する必要があります。各社のベストプラクティスを共有し、そこから新たな取り組みが生み出される環境を整備する等、引き続き、取り組みを進めてまいります。

 
 ■一般社団法人 日本損害保険協会 会長 新納 啓介

損保協会 新納会長

 
【関東大震災と、今後危惧される巨大地震に対する思い】
 今年は、わが国の災害史に残る大災害である関東大震災から100年の節目の年に当たります。被災者の方にあらためて哀悼の意を表すと共に、復旧に携わった全ての方々、そして防災や減災に向けた教訓を後世に語り継いでいただいた全ての皆さまに、感謝申し上げたいと思います。
 遠くない将来、「首都直下地震」や「南海トラフ地震」の発生も懸念される地震大国、日本で暮らすわれわれにとって、巨大地震から身を守り、被害を小さくし、迅速な復旧につなげるためには、防災意識の向上やいざという時の備えの充実が不可欠です。
 こうした認識の下、日本損害保険協会では、国・自治体・防災関係者の方々などと連携し、地震リスクや地震保険の必要性の呼びかけなどを目的した講演会の開催や小学生向けの防災教育プログラムである「ぼうさい探検隊」の推進など、地震保険の普及促進や、防災・減災の促進に向けた取り組みを進めてまいりました。
 今年度は、国民の皆さまの安心・安全な暮らしに貢献すべく、業界をあげてこれらの取り組みを一層強化したいと思っています。
 
【地震保険の普及促進や、防災・減災の促進に向けた当協会の取り組み】
 今年度の当協会の取り組みをご紹介いたします。
 まず1点目は、防災・減災の重要性に関する啓発活動です。具体的には、防災担当大臣との対談など、関東大震災100年を踏まえたオンラインコンテンツを通じて、防災・減災の重要性について情報を発信していきます。加えて、当協会各支部がマスコミ・地方自治体等の皆さまと連携し、地域における啓発イベントを開催していきます。
 その上で、2点目として、備えとしての地震保険の一層の普及活動に取り組んでいきます。これまでの損保代理店の募集活動の支援やマスコミを通じたPR等の結果、2022年度の地震保険の付帯率(年度中に契約された火災保険契約に、地震保険契約がセットして契約されている割合)は69.4%と、20年連続で上昇しておりますが、付帯率には地域差も存在しています。
 今年度は、マスコミを通じた情報発信のイメージキャラクターに女優の黒木華さんを起用し、幅広い世代の方々に対して地震保険のPRを行っていくと同時に、家財・マンションの共有部分や付帯率が低い地域など、ターゲットを絞ったPR活動も行ってまいります。
 
【おわりに】
 今年は、関東大震災から100年を契機に、あらためて、自然災害に対する備えや防災・減災取り組みの重要性について、国民の皆さまの意識向上・対策を推進する重要な年であると考えております。
 より多くの方にとって、いざという時の避難行動や備蓄品の確認、住宅の耐震化、通電火災への対策、家具の固定、地震保険の加入状況の点検などの備えの機会としていただき、ご自身・ご家族を守ることにつなげていただければと思います。

 
 ■一般社団法人 外国損害保険協会 会長 元田 賢

FNLIA 元田会長

 
 外国損害保険協会(FNLIA)は、外資系の損害保険会社18社で構成する事業者団体です。会員の中には日本で保険を提供し始めて既に100年以上経過している会社もあり、損害保険事業を通じて日本の個人や企業のお客さまに、自然災害を含めさまざまなリスクに対して補償を提供してまいりました。
 近年、世界的に異常気象に伴う自然災害が頻発しています。日本も例外ではなく自然災害が激甚化しており、甚大な被害をもたらしています。自然災害や不測の事故による万が一の経済的損失を補償する社会インフラの役割も求められる損保業界に身を置くものとして、昨今の情勢を鑑み、その役割の重要性をあらためて強く認識しているところです。今年関東大震災から100年目を迎えるにあたり、国内において今後の発生が予想されている大災害への備えを今こそ進め、然るべき時には損害保険事業者として存分に役割を発揮せねばならないとの思いを新たにしています。
 あらためて申し上げるまでもなく、保険/再保険の目的は、地震、津波、台風、洪水、山火事、パンデミック、信用リスクなど、災害や事故により生じた損失を保険金という形で経済的に補償し、人々の暮らしや経済・社会が迅速に回復できるよう経済的な支援を行うことです。FNLIAの会員各社は、海外市場で培った商品と技術革新を活用し、グローバルなベストプラクティスとイノベーションを日本市場に導入しています。例えば、自然災害に対して追加的に必要となるキャパシティー(引受余力)の提供、世界各国でカバーの一貫性を確保する多国籍企業保険プログラムや、国際資本にアクセスできる国際的な取引信用保険の提供などにより、日本の個人や企業のお客さまを支援しています。
 日本でも、欧米の会社のように、会社のリスクを横断的にみるリスクマネージャーを置く会社が少しずつ増えています。FNLIAの会員会社は、これらリスクマネージャー、お客さまの機関代理店、保険ブローカー等とともに、お客さまにリスクサーベイを提供したり、各種セミナー等を開催することにより、お客さまが自社のリスクの全体像を理解し、リスクの軽減・保有・ヘッジ等について正確なご判断を下せる様お手伝いをさせていただきます。また、その結果、必要となる補償を提供することにより、お客さまをサポートしてまいります。個人のお客さまにつきましては、海外の先進的な保険をいち早く日本市場にご紹介し、お客さまが必要な補償を安価に安定的に購入できるよう、取り組んでまいります。
 FNLIAの会員各社は、保険/再保険を通じてリスクに対する補償の提供はもとより、これらの活動を通して、日本の企業および個人のお客さまのリスクマネジメントの強化にも引き続き貢献してまいります。

 
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