損保協会 第2回代理店業務品質評価第三者検討会開催 制度全体像で7項目の論点を討議
損保協会では10月21日、第2回代理店業務品質評価に関する第三者検討会(嶋寺基座長)を開催し、①第三者評価制度の全体像(個別論点整理)②「代理店業務品質に関する評価指針」(案)―の2議題について検討を行った。今回から金融庁、日本代協に加え外国損害保険協会がオブザーブ参加。
第三者評価制度の全体像(個別論点整理)については、事務局から、資料として「『代理店業務品質評価に関する第三者検討会』に寄せられた意見概要および意見に対する考え方(案)について」および「代理店の業務品質に関する第三者評価制度について~個別論点に関する整理資料~」に沿って説明があった後、意見交換を行った。
「…第三者評価制度について~個別論点に関する整理資料~」は、第1回検討会での事務局提案資料に関し、委員から発言のあった論点、意見受付窓口に寄せられた意見、および損保各社からの問題提起等を踏まえ、個別論点ごとに考え方や検討経緯等を整理したもので、①第三者評価制度の位置づけ②評価基準のあり方および適用範囲の考え方③運営体制に関する検討④自己点検チェックの取組み⑤結果公表、監督当局との情報連携⑥通報等窓口の運用イメージ⑦その他―の7項目に整理している。それによると、
①「第三者評価制度の位置づけ」については、代理店指導等の実効性確保のため、最も重要となるのは保険会社における保険募集管理態勢の再構築であり、第三者評価制度は、保険会社の代理店指導等を「補完」する仕組みと整理される。…このため、第三者評価制度は、基本的には「代理店指導等の延長」と位置づけられ、保険会社にあっては主体的な参画が求められる。…こういった関係性のもと、第三者評価制度がより実効的に機能するためには、保険会社における本制度への理解とともに、制度の活用に向けた動機付けが重要と考えられる。たとえば、今後、監督当局に対し、保険会社が第三者評価制度や業界共通の評価基準を活用するよう促す方策について、検討を求めることも考えられる―としている。
②「評価基準のあり方および適用範囲の考え方」については、まず、「評価基準」は業界共通、すなわち、すべての代理店に適用可能なものとして作成する。その上で、代理店の規模や特性に応じた評価基準(評価の項目および指標)とするとした。評価基準の内容は、顧客本位の業務運営の観点で最低限必要な業務品質が確保されているかを判定できるようなものとする―と整理。
③「運営体制に関する検討」では、第三者評価における「第三者」とは、当事者が評価に関与しない関係を言い、個別に見た場合、ある代理店の評価に際して、当該代理店の所属保険会社がその判断に関与しないことを言う。これを制度として運営する方法(第三者機関のあり方)は各種あり、選択肢も一つに限定されないが、サステナブルであることは重要な要素となると整理。特に、保険会社の代理店指導等を補完する仕組みとしての「第三者評価」を考えた場合、第三者機関と保険会社の関係も重要な要素となるとしている。
④「自己点検チェックの取組み」については、代理店の体制整備義務の一環の位置づけで、現状、多くの保険会社では、代理店の自律的な取組みとして実施している。一方で、それが形式的なものにとどまり、形骸化しているとの声もある中で、実効性の向上が大きな課題の一つとなった。したがって、自己点検チェックを第三者評価制度の基礎的部分に位置づけるとともに、保険会社に以下の対応を促してはどうかとし、
▽自己点検チェックは、引き続き、代理店における体制整備に関するPDCAを主体的・自律的に推進するためのツールの一つとしつつ、今後は、顧客本位の業務運営の検証材料として、保険会社(乗合代理店の場合の非代申会社を含む)の代理店指導等においても活用する▽保険会社の代理店指導等においては、単に個々の点検項目ができているかどうかの確認にとどまることなく、それらの意義や真の意味での顧客本位の実現・実践に向けて、代理店との対話を可能な限り繰り返す―としている。
⑤「結果公表、監督当局との情報連携」については、代理店に対する消費者の信頼維持・向上に資する透明度の高い第三者評価制度とするため、制度の運営状況は、適時・適切に情報開示する。このうち、第三者評価の結果公表に関しては、消費者に与える影響を十分に考慮する必要があるため、情報開示の目的を含め、具体的にどのような情報を開示するかについては改めて整理するとし、
▽代理店の優劣評価やランク付けを目的とした制度ではないため、結果公表が消費者に誤ったメッセージとして伝わらないよう留意する必要がある▽第三者機関として事実認定に限界があることを踏まえ、公平を期すため、基本的には事実に即した内容の開示とする方向―としている。
また、監督当局との情報連携により、第三者評価の実効性を向上させるとしている。
⑥「通報等窓口の運用イメージ」については、不適切事例の早期発見・是正および未然防止のための情報提供窓口(通報等窓口)の運用は、次の整理に沿って、今後、具体的な仕組みを検討する―としており、
▽オンライン受付窓口を設置する▽受付区分は「通報」「相談」「情報提供」とし、あらかじめ受付要件を定めて公表するとしている。
消費者からの通報等を対象とし、損害保険に関する一般相談や損害保険会社・代理店に対する苦情である場合は専用窓口(そんぽADRセンター)を案内する。匿名での通報等に対する回答は行わない。内部告発は受け付けない(公益通報者保護法に基づく制度運営とはしない)。なお、「情報提供」に関しては、評価基準の見直し検討に役立てるため、業界関係者(損保会社社員や代理店)からの業界ガイドラインの運用上の疑義事例等も、一定の条件付きで受付可とするとしている。
各委員の意見要旨(一部のみ)
▽損保協会が制度運営することについて「第三者」として見られていないとの意見があるが、第三者評価制度の「第三者」とは「当事者が評価に関与しない関係」であることをしっかり理解してもらう努力が必要と感じる。
▽第三者評価制度については、保険会社ごとだけでなく、保険会社の中でも部門によって受け止め方に濃淡があるように見受けられる。制度の実効性を確保するためには、各社が会社を挙げて活用に取り組む必要があり、金融ADRなどを参考に法的な裏付けがあるとよい。
▽現在、金融審議会の「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ(以下、保険WG)」が開催されており、その議論と関連して本件も検討を進めるのがよいと考える。保険WGでは、大規模な一部の代理店のみに対して上乗せ規制を課すことに関して、委員からは規模にかかわらず規制が必要ではないかとの声も複数あり、一連の問題に対する世間の目は非常に厳しく、規制をさらに重くする方向に繋がりかねないと感じる。そのような中、この第三者評価制度は、すべての代理店を対象として、代理店の実態に応じた評価を行うものであり、信頼や品質の向上を目指す観点でも非常に大きな役割が期待されている。この制度を作って終わりということでは意味がなく、実効性ある制度とするためにも、何らかの形で当局による監督の中の位置づけに組み込まれることが重要と考える。
▽保険会社による実効的な指導が困難な場合を中心に実施することについては、項目が非常に多岐に及ぶという点を踏まえ、軽重を付けながら評価することについては十分合理的と考えるが、線引きが恣意的にならないようにすべき。保険会社としても、個社の利益を超えて、現状を変えるために、覚悟を持ってこの制度を活用していく必要がある。
▽第三者評価制度の実効性の担保のためにも、法的な裏付けは重要であり、当局にも働きかける必要があると考える。法令への手当てはハードルが高い場合でも、監督指針に織り込んでもらう必要がある。保険業法においても代理店の体制整備に関する規定があるので、それに関連づけることも考えられるのではないか。
▽オンサイト評価についても予定されているが、代理店を評価する場合には、保険会社の代理店指導の状況についても確認する必要があるのではないか。
▽評価結果の公表については慎重に進めるべき。啓発を含めて一般的な事象として公表するのはよいが、個別事象の公表については慎重な判断が必要と考える。
代理店業務品質に関する評価指針(案)
事務局から、資料「代理店業務品質に関する評価指針(損害保険代理店向け)(案)」に沿って説明があった後、日本代協から、資料「顧客本位の業務運営の観点からみた業務品質について」に沿って意見発表があり、その後、意見交換を行った。
あいおいニッセイ同和損保は、2023年12月に金融庁から法人向け保険の入札事案における保険料調整行為に関し業務改善命令を受け、24年2月に提出した業務改善計画に基づき、真にお客さま本位の損害保険会社となることを目指し取り組んでいる。その取り組みの一環として、10月10日を「過去の不祥事を振り返り学ぶ日」と制定し、今回の保険料調整問題だけでなく、過去の不祥事を振り返り、教訓を風化させないための仕組みをつくった。第一回目の「過去の不祥事を振り返り学ぶ日」について、経営企画部企画グループの井本恭平担当課長と河原結乃課長補佐に聞いた。
――今年10月10日の開催の様子について。
井本 今回の10月10日が制定後初の「過去の不祥事を振り返る学ぶ日」となった。当日は、当社の研修施設である聖蹟桜ヶ丘センターで役員、部支店長に加えて社外役員等、計213人を全国から集め対面で開催した。
――具体的な内容は。
河原 当社を含めた損保業界では、長い歴史の中で、お客さまにご迷惑がかかる不祥事が複数回発生している。中でも2006年に発生した保険金不払問題は大きな問題になったが、時を経て当時を知る社員は現在では3分の1以下になっている。そのため、過去にどのような不祥事が起こり、何を反省し、何を決意したのか、当時の生の情報も含めて
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