金融庁 25年度決算からESRの報告必要に ESR導入の法令改正でパブコメ開始
金融庁は10月31日、経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する保険業法施行規則の一部改正(案)等を取りまとめ公表するとともに、これに対する意見の募集を開始した。パブコメの締め切りは12月2日。2025年夏ごろに改正法令等を公布する予定で、26年3月末から新規制の適用が始まる。25年度決算から新規制に基づくESRの報告が必要になる。
金融庁では2020年6月26日「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する有識者会議」報告書の提言に基づき、令和7年度(26年3月期)からの経済価値ベースのソルベンシー規制(ESR)の導入に向けて検討を行ってきた。本年5月29日に、残された各論点についての方向性を示した「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する残論点の方向性」を公表しており、今回、こうした「方向性」に従い、新規制に関する法令等について、所要の新規制定または改正を行う内閣府令(案)をパブコメに付したもの。
なお、海外子会社に係る統合手法については、EUソルベンシーⅡにおける控除合算手法と整合的な手法の導入は、保険監督者国際機構(IAIS)による国際資本基準(ICS)と米国合算手法の比較可能性評価の結果次第としており、現在までに結論が明らかとなっていないため、今回の改正案等には含まれていない。金融庁では、今後、IAISによるICSの最終化等を踏まえ必要に応じて修正を行うことがあるとしており、その場合は25年初ころに2回目のパブコメを実施したうえで、最終的な改正法令等を公布する予定。
新規制の導入にあわせ、▽価格変動準備金の積立基準、積立限度並びに危険準備金Ⅱのリスク係数等及び危険準備金の取崩基準について、環境変化等を踏まえた見直し▽現行の法定開示項目において重要性の低下した項目等の改廃―といった改正も行う。
法令等の改正案等には、▽保険業法施行規則(本則・別表・別紙様式・附則)の一部改正案▽早期是正措置に関する命令の一部改正案▽経済価値ベースのソルベンシー規制(第1の柱)に関する告示案▽経済価値ベースのソルベンシー規制(第3の柱)に関する告示案▽経済価値ベースのバランスシートの外部監査に関する告示案▽適格格付機関に関する告示案▽その他法令の一部改正案▽保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正案―がある。
金融庁保険モニタリング室では、内閣府令(案)の公表とともに「経済価値ベースのソルベンシー規制の概要」も公表した。
それによると、経済価値ベースのソルベンシー規制を導入する意義については、①契約者保護:保険会社の中長期的な健全性をフォワードルッキングに反映できる規制を導入することにより、リスクが発現した場合にも保険債務を履行できるだけの支払能力の確保を求め、 契約者の保護を図る②保険会社のリスク管理の高度化:既に経済価値ベースの考え方を取り入れている会社については、内部管理上の指標と規制上の指標の整合性の向上、未だ経済価値ベースの考え方を取り入れていない会社については、経済価値ベースに基づくリスク管理の導入の促進が期待される③消費者・市場関係者等への情報提供:経済価値ベースの統一的な基準に基づく情報開示を行うことで、一定の比較可能性を持った形で財務の健全性に関する情報提供が充実し、保険会社と外部のステークホルダーとの対話を通じて、保険会社の経営へのガバナンス・規律付けが向上することが期待される―以上三つの観点で整理している。今回の新規制は、狭義のソルベンシー規制にとどまらない、保険会社の内部管理のあり方も踏まえた多面的な健全性政策について、「三つの柱」の考え方を採用していることが特徴だとしており、「第1の柱(ソルベンシー規制)」では、ソルベンシー比率に関する一定の共通基準を設け、契約者保護のためのバックストップとして監督介入の枠組みを定める(基本的な構造はICSと共通)、「第2の柱(内部管理と監督上の検証)」では、第1の柱で捉えきれないリスクも捕捉し、 保険会社の内部管理を検証しその高度化を促進する、「第3の柱(情報開示)」では、保険会社と外部のステークホルダーとの間の適切な対話を促し、ひいては保険会社に対する適正な規律を働かせる―としている。
新規制による新たな早期是正措置制度では、ESR水準100%以上(現行制度:200%以上)を非対象区分とする。「改善計画の提出およびその実行の命令」発出となる「第一区分」は同100―70%(現行制度:200―100%)で、この場合、監督指針上は原則1年以内に100%以上に回復すべき旨を規定している。
「保険金等の支払い能力の充実に資する各種措置に係る命令」発出となる「第二区分」は同70―35%(現行制度:100―0%)となる。この場合、監督指針上は原則6カ月以内に70%以上に回復すべき旨を規定している。
「期限を付した業務の全部また一部停止命令」発出となる「第三区分」は同35%未満(現行制度:0%未満)で、この場合、監督指針上は原則3カ月以内に35%以上に回復すべき旨を規定している。
「第1の柱標準モデル」は、有識者会議における議論を踏まえ、ICSと基本的な構造を共通としつつ、国内規制としてふさわしいものとなるよう必要な範囲でICSの仕様を修正することとしている。例えば、ICSにおける生命保険リスク及び損害保険リスクは、国際的に活動する大規模な保険グループを中心としたデータに基づいたリスク係数等となっているが、中小社を含む日本の保険会社の特性を反映するため、各社の実績データを踏まえてこれらの係数を修正している。
なお、22年3月を計算基準日に全保険会社を対象に実施したフィールドテストでは、生保単体の平均ESRは204%、損保単体の平均ESRは194%だった(金融庁「経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する基準の最終化に向けた検討状況について」(23年6月30日)より)。
【「地域貢献」―新たなステージに17】
はなさく生命は、長期ビジョンで「“ニュー・インシュアランス・クリエイター”として、新しい価値を創造し、社会課題の解決を通じてお客様の信頼を獲得する」を掲げ、保険事業を通じた社会課題への対応による顧客の信頼の獲得により、サステナブルな企業価値の向上を目指している。また、地域社会への取り組みとして、「多様なチャネルの展開・融合を通じ、年齢やさまざまなライフスタイルに合った生命保険の加入機会の提供」や、「デジタルツールと有人を組み合わせたサポートにより幅広い地域・世代へのサービスや情報提供」を行うことで、活力あふれる地域社会の創出へ貢献することを目指している。
■「I'm OK? PROJECT」を推進
同社は、サステナビリティ経営の取り組みとして、女性の健康課題に寄り添い、自分と向き合うきっかけを提供するためのプロジェクトである「I'm OK? PROJECT」を2024年3月にスタートした。同プロジェクトでは、「自分と向き合うきっかけとなる体験づくり」を目的としたイベントの開催や、「女性のココロとカラダに関する情報の提供」を行い、幅広い地域の顧客とのつながりを構築することを目指していく。
同プロジェクトでは、特に乳がんについて、日本人女性の9人にひとりがかかると言われているものの、
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