生保各社24年度第2四半期(上半期)決算 新契約年換算保険料二桁伸展と好調 保険料等収入は9%増22兆円に
生保各社の2024年度第2四半期(上半期)決算がまとまった。個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料は、全社計で前年比11.7%増の1兆3257億円(生保協会集計:12日16日掲載)と第1四半期からさらに上昇し二桁伸展を示した。保険料等収入(生保協会集計)も、同9.4%増の22兆0006億円と大きく伸展した。一方、個人保険・個人年金保険計の保有契約年換算保険料(生保協会集計)は、同0.3%減の28兆676億円とわずかに実績を下回った。本紙4面掲載の「保有契約年換算保険料」では、当期1000億円以上の30社中、20社が前年度末比で実績を下回っている。(本日4~6面に生保協会会員各社の業績詳細(本紙調査)を掲載)
日本生命グループの連結損益計算書における保険料等収入とその他経常収益の合計を示す「保険・サービス収益」は、ニチイホールディングスを新たに連結対象としたものの、日本生命の金融機関窓販チャネルの減少や団体年金での減少により前年同期比0.4%減の4兆2216億円と横ばいだった。連結保険料等収入は同2.8%減の3兆9956億円。日本生命の保険料等収入は同6.1%減の2兆4465億円で、新契約年換算保険料は同6.4%減の1147億円だった。大樹生命の保険料等収入は再保険収入の増加等により同2.1%増の4135億円で、新契約年換算保険料は同1.0%増の185億円。ニッセイ・ウェルス生命の保険料等収入は外貨建一時払商品の販売増を主因に同0.9%増の9651億円で、新契約年換算保険料は同2.4%増の1089億円だった。国内計の保険料等収入は、同3.1%減の3兆8555億円となる。グループの基礎利益は同36.0%増の4866億円。日本生命では同27.3%の増益、大樹生命は同6.6%の減益、ニッセイ・ウェルス生命は同162.3%の増益などだった。24年度通期の業績見通しは、グループ全体で「減収・増益」を見込む。グループ計の保険料等収入は、日本生命とニッセイ・ウェルス生命での減少を主因に約7兆3600億円を見込む。各社別には日本生命が「減収」、大樹生命が「減収」、ニッセイ・ウェルス生命が「減収」、はなさく生命が「増収」、MLCが「増収」。基礎利益は、利息及び配当金等収入の増加を主因に約9000億円を見込む。各社別には日本生命が「増益」、大樹生命が「増益」、ニッセイ・ウェルス生命が「増益」、はなさく生命が「増益」、MLCが「減益」。ニチイホールディングスは「減益」を見込む。
かんぽ生命の連結保険料等収入は前年同期比7910億円増の1兆8879億円を計上した。新契約年換算保険料は、一時払終身保険の販売増により同149.6%増の1130億円と伸展した。かんぽ生命単体ベースでは、順ざやが改善した一方、一時払終身保険販売を主とした新契約の増加に伴う短期的な費用の増加の影響等により、基礎利益は同155億円減の1162億円となった。運用環境の好転による資産運用収益の増加を見込み、24年3月期の通期連結業績予想を修正し、親会社株主に帰属する当期純利益を790億円から1200億円に上方修正した。
第一生命ホールディングスの連結保険料等収入は前年同期比2.3%減の3兆5966億円となった。グループ計の新契約年換算保険料は同27.0%増の3043億円。新契約業績では、第一生命の販売量回復、豪TALの大型団体保険獲得等で、新契約年換算保険料は前年同期比で大幅増となった。第一生命の保険料等収入は同724億円(6%)減の1兆745億円で、新契約年換算保険料は同150.5%増の560億円だった。第一フロンティア生命の保険料等収入は同1195億円(8%)増の1兆6937億円で、新契約年換算保険料は同17.3%減の1240億円。ネオファースト生命の保険料等収入(再保険収入を除く)は、がん保険、三大疾病一時給付保険の販売が好調だったものの、経営者保険の解約に伴う保有契約の減少等により、同6億円(1%)減の479億円で、新契約年換算保険料は1.7%減の62億円だった。グループ基礎利益は同41.9%増の3062億円。連結中間純利益は同48.1%増の2331億円。グループ修正利益は同42%増益の2452億円となった。グループ修正利益のうち、国内事業は第一生命で利配収入の増加による順ざやの拡大や株式売却前倒しがあり同51%増の1642億円で進捗率は70%。海外事業もおおむね順調で同7%増の619億円となり、期初予想に対し60%と順調な進捗とした。グループ全体では72%の進捗で、通期予想の「3400億円程度」に向け高い進捗率を示している。
明治安田グループの連結保険料等収入は明治安田生命単体の増加により前年同期比12.0%増の1兆8066億円を示した。明治安田生命単体の保険料等収入は外貨建一時払保険の販売量増加を主因に同9.9%増の1兆4789億円。単体の新契約年換算保険料は、窓販における外貨建一時払保険の販売量増加を主因に同6.4%増の639億円となった。グループ基礎利益は、明治安田生命単体の円安による外国公社債の利息及び配当金等収入の増加や、スタンコープ社の大幅増益を主因として、同14.2%増の2985億円。明治安田生命単体の基礎利益は同10.3%増益の2497億円。24年度の業績見通しは、グループ保険料は「増収」、グループ基礎利益は「減益」の見通しを維持した。
住友生命グループの保険料等収入は前年同期比32.9%増の1兆7015億円を計上した。国内事業は同6.4%増の1兆1823億円で、そのうち住友生命は、営業職員チャネルで一時払終身保険の販売が好調だったことを主因に同4.4%増の1兆1079億円、メディケア生命は、新契約の増加に伴い保有契約が増加したことに加え再保険収入の増加もあり、同51.2%増の740億円となった。海外事業は、シメトラにおける保有契約の増加に加え、為替が円安に進んだことも寄与。また、今年3月に子会社化したシングライフの業績を反映した結果、同207.0%増の5192億円となった。グループの新契約年換算保険料のうち、国内事業は同1.0%減の615億円。住友生命は、営業職員チャネルが好調だったものの、代理店チャネルで円建一時払商品の販売が減少したことなどにより、同2.2%減の509億円。メディケア生命は引き続き主力の医療保険が好調で、同4.7%増の106億円となった。グループの基礎利益は同37.8%増の2050億円で、そのうち住友生命は、円安に伴う外国証券の利息・配当金の増加等により順ざやが増加し、同33.2%増の1734億円だった。
プルデンシャル・グループ3社(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)の連結保険料等収入は前年同期比17.8%増の1兆9393億円だった。このうちプルデンシャル生命は同10.1%増の7877億円、ジブラルタ生命は同37.6%増の5987億円、PGF生命は同7.0%増の6763億円。3社合算の新契約年換算保険料は同23.3%増の932億円だった。このうちプルデンシャル生命は同13.8%増の370億円、ジブラルタ生命は同38.4%増の254億円、同37.6%増の5987億円、PGF生命は同24.6%増の307億円だった。合算の基礎利益は、同4.3%減の1103億円だった。このうちプルデンシャル生命は同4.8%減の208億円、ジブラルタ生命は同1.4%減の762億円、PGF生命は同17.8%減の132億円だった。グループの親会社株主に帰属する中間純利益は同18.5%増の795億円。
T&D保険グループ(太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命)の保険料等収入は、円貨建て一時払商品の販売好調等により、3社合算で前年同期比21.7%増の1兆3584億円を示した。太陽生命の保険料等収入は同46.3%増の4273億円で、新契約年換算保険料は同56.3%増の242億円。大同生命の保険料等収入は同0.1%減の4133億円で、新契約年換算保険料は同6.3%増の387億円だった。T&Dフィナンシャル生命の保険料等収入は同26.2%増の5178億円で、新契約年換算保険料は一時払個人年金保険の販売が好調により前年同期並みの水準を確保し、同0.7%減の422億円。グループの基礎利益は、利息配当金等収入の増加および為替ヘッジコストの減少等により、3社合算で同43.0%増の812億円となった。
ソニー生命の個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料は前年同期比22.8%増の877億円となった。保険料等収入は同20.4%増の9442億円だった。中間純利益は同42.7%減の57億円で、基礎利益は同27.4%減の614億円だった。
【ライフサポート事業部ライフサポート事業担当部長 笠原有子氏に聞く】
日本生命では、2022年4月にスタートした「NISSAYペンギンプロジェクト」の取り組みが拡大している。“みんなで子どもを育てる社会”の実現に向けた取り組みで、これまでに40企業・8自治体と共創し、10万人以上が参加。24年度には、6月に日本生命グループ入りしたニチイ学館が保有する保育所(全国約330カ所)を起点とした取り組みも推進し、同年11月には、同プロジェクトで関係を深めてきた保育事業者ライクとの資本業務提携も締結した。ライフサポート事業担当部長の笠原有子氏にこれまでの進捗や成果、展望などを聞いた。
――同プロジェクトスタートの背景や特徴は。
笠原 近年の核家族化の進行や女性の社会進出等を背景に、子育ての壁や不安を当事者だけにとどめるのではなく、次世代に向けて社会全体で助け合うことで、安心して子育てできる社会の実現を目指したい、との想いから、「子育てしやすい社会を、みんなで」をスローガンに、群れで子育てをする習性のある“ペンギン”をモチーフに22年4月に始動した。具体的には、「認知(共感と注目)」を拡大し、「共に考える(Think)」「共に行動する(Action)」仲間の輪を広げ、共に考え・行動することを通じて、「新たな価値を創造する(Cre
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