損保協会 「募集コンプライアンスガイド」を改定 「顧客本位実現」「利益相反管理」を新設 「推奨販売」「特利提供禁止」で基本的考え方整理
損保協会は12月26日、募集品質のさらなる向上に向けて「募集コンプライアンスガイド」の追補版を改定した。金融庁の「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」および金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」での議論等を受けて、これまで同ガイドに解説等がなかった「顧客本位の業務運営の実現」および「利益相反管理」を新設したほか、「推奨販売」および「特別利益の提供の禁止」について、基本的な考え方をあらためて整理した。
新設された【2―1 顧客本位の業務運営の実現】では、「有識者会議報告書では、顧客本位の業務運営の徹底について、「損害保険会社や保険代理店において、顧客の利益よりも自社の利益を優先させた結果、不適切な保険募集が行われるなど、顧客本位の業務運営が実現されなかった」との指摘がなされています。お客さまからの信頼を回復するためには、損害保険会社による取組みに加えて、代理店も、保険契約者等の保護を徹底し、体制整備の一環として顧客本位の業務運営のより一層の追求に取り組む必要があります」とされた。「基本姿勢」として、「募集人は、「保険業法」をはじめとする各種関係法令の遵守に加え、例えば「代理店事務処理規定」や各種「契約規定」といった所属保険会社の定める規定やルールや社会規範等を遵守しなければなりません。そのうえで、代理店自らが主体的に創意工夫を発揮し、顧客本位の業務運営を実践していくことが求められます。保険業の公共性に鑑み、募集人は、自らの社会的役割を自覚し、プロフェッショナルとしての倫理観を持ち、お客さまからの期待に応えていく必要があります」とし、「ア.コンプライアンス」「イ.募集人の役割」「ウ.募集人の職業倫理」について解説するとともに「顧客の最善の利益を勘案した誠実公正義務(最善利益義務)」について解説している。
同じく新設された【2―5 利益相反管理】では、「有識者会議報告書では、「兼業代理店がその兼業という立場を利用して自らの利益を得るために顧客の利益を損なうことは許されるべきものではなく、また、兼業代理店はこのような利益相反が生じ得る事業構造であることを改めて認識する必要がある」との指摘がなされています。兼業代理店においては、兼業に伴う弊害を防止するための措置を講じる必要があります。なお、損害保険会社に対しても、同様に兼業に伴う弊害を防止するための措置が求められています」とされた。「基本ルール」として、「…損害保険業界の果たすべき社会的使命の観点から、適時・適切な保険金支払が求められる一方で、保険金関連事業(例えば、自動車修理工場など本業に付随した保険金の支払いを受けることで利益を得られる事業)を兼業する代理店では、自らの利益を得るために保険会社に対して過剰な修理費等を請求するといった、不当なインセンティブが生じるおそれがあります。代理店が、兼業する保険金関連事業により、お客さまの利益を不当に害する行為を行うことは決して許されるものではありません。そのため、代理店は、自らの不当なインセンティブによりこれら弊害の防止に取り組むことが重要です」とし、「利益相反管理態勢」が解説されている。
【2―2 推奨販売】では、「有識者会議報告書では、推奨販売について、「乗合代理店が損害保険会社からの便宜供与の実績等の理由により、同損害保険会社の商品を推奨することを決定しておきながら、顧客に対して「特定の損害保険会社の事務に精通している」といった本来の理由を隠した説明を行っていたなど、比較推奨販売に関する規定が不適切に運用されていたことも明らかになった」との指摘がなされています」とし、「ア.顧客の最善の利益を勘案した誠実公正義務」「イ.お客さまの意向に沿って比較可能な商品を選別し、商品を推奨する場合(施行規則第227条の2第3項第4号ロ)」「ウ.代理店独自の推奨理由・基準に沿って商品を選別し、商品を推奨する場合(施行規則第227条の2第3項第4号ハ)」について解説している。
また、【2―3 特別利益の提供の禁止】では、「ア.保険料の割引、割戻し」「イ.特別利益の提供」について解説しているほか、「留意点」として、「ア.募集関連行為従事者による契約見込み客等への物品・サービスの提供」「イ.損保代理店の他に行っている業務における物品・サービス」「ウ.保険契約上の規定外適用」について記載している。
日本生命は、2024年12月に発表を行ったPHR(Personal Health Record)プラットフォームの開発等を展開する㈱Welby(比木武・山本武代表取締役)および同社の100%子会社でマイカルテ事業を展開する㈱Welbyヘルスケアソリューションズ(豊原稔代表取締役)との3社間での業務提携に基づく協業の取り組みを拡大させている。同社では、「日本を代表する健康保険組合がコンソーシアムを組み、みなし健診の普及に向けて取り組むことは国内初。これにより、医療費の適正化、健康寿命の延伸、持続可能な社会の実現を目指していく」としている。
背景と課題、取組概要
政府は医療費の増加を背景に、生活習慣病患者(懸念される人を含む)に向けた発症・重症化予防に向けた取り組みを推進。2008年から、保険者(健康保険事業の運営主体)に対し、40~74歳の健康保険被保険者・被扶養者を対象とした特定健康診断(注1)を義務付けているが、21年度実績は受診率56.5%と、約半数が受診できていない状況となっている。受診しない理由は「通院中」が最も多いが、通院時の検査により特定健康診査の受診項目を満たしている人は0.8%というデータも示されているという。
特定健康診査が未受診であることによって、①血液検査が実施済であることから、糖尿病や脂質異常
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