かんぽ生命 24年度末決算 当期純利益は41%増1234億円 新契約年換算保険料49%増に
かんぽ生命は5月15日、2024年度末(24年4月1日~25年3月31日)決算を発表した。連結業績では、保有契約の減少等の影響と新契約の増加に伴う標準責任準備金負担の増加の影響があった一方、運用環境の好転等による順ざやの増加等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比364億円(41.8%)増の1234億円、新契約の初年度に係る標準責任準備金の積増負担およびのれん償却による影響を調整した修正利益は同481億円(49.3%)増の1457億円と大幅に増加した。契約の状況では、個人保険の新契約件数は同26.5%増、同新契約年換算保険料は同49.9%増と増加が継続している。25年度の連結業績予想については、経常収益5兆6400億円(前期比8.5%減)、経常利益2400億円(同40.9%増)、当期純利益1360億円(同10.1%増)、修正利益1420億円程度と見込む。
かんぽ生命の連結主要業績では、経常収益は前期比5787億円減の6兆1653億円で、そのうち保険料等収入は同6708億円増の3兆1548億円、資産運用収益は同159億円減の1兆1956億円、責任準備金戻入額は同1兆2581億円減の1兆7472億円だった。経常費用は同5879億円減の5兆9950億円で、このうち保険金等支払金が同5732億円減の5兆2053億円、資産運用費用が同34億円減の2790億円、事業費等が同117億円減の5099億円となった。以上の結果、経常利益は同91億円増の1702億円で、親会社株主に帰属する当期純利益は同364億円増の1234億円となった。総資産は前期末比1兆3002億円減の59兆5556億円、純資産が同1543億円減の3兆2414億円。
新契約価値は、金利上昇および新契約の増加により、同470億円増と大幅に増加した。連結ソルベンシー・マージン比率は、前期末から120ポイント低下し903.2%。
かんぽ生命単体ベースでは、保険関係損益は保有契約の減少等の影響と一時払終身保険販売を主とした新契約の増加に伴う短期的な費用(初年度に係る標準責任準備金の積増負担)の増加の影響等により前期比325億円減の996億円、順ざやは株式・オルタナティブの配当の増加等により同507億円増の1425億円で、うち為替に係るヘッジコストが同144億円増の▲670億円となった結果、基礎利益は同181億円増の2421億円となった。キャピタル損益は、投資信託の解約益の増加により同74億円減の26億円。
上記に加え、21年3月期から実施していた危険準備金の超過繰入の終了等に伴う危険準備金繰入額の減少により、当期純利益は同355億円増の1240億円となった。
24年1月に販売を開始した一時払終身保険の影響等により、新契約件数(個人保険)は前期比26.5%増の79.5万件と増加が継続した。保有契約件数は前期末比4.5%減の1881万件と減少したものの、新区分では新契約件数の増加に伴い2.4%減の1278.6万件と前年同期と比べ緩やかな減少となっており、早期の底打ち反転を目指す。
新契約年換算保険料(個人保険)は1750億円で前期比49.9%増。保有契約年換算保険料(個人保険)は2兆1372億円で前期末比2.9%減、新旧区分合算では2兆8558億円で同4.4%減だった。
個人保険の新契約件数79.5万件のうち、商品別では、養老保険が19.2万件(占率24.2%、前期比17.6ポイント低下)、終身保険が55.7万件(占率70.2%、同27.9ポイント上昇)、学資保険が3万件(占率3.8%、同7.4ポイント低下)だった。保有契約件数1881万件のうちでは、養老保険が511.3万件(占率27.2%、前期比2.6ポイント低下)、終身保険が1099.1万件(占率58.4%、同3.1ポイント上昇)、学資保険が253万件(占率13.5%、同0.5ポイント低下)だった。
資産運用については、株式、外国証券等の収益追求資産については、為替が円安で推移する中オープン外債を売却したことや、日経平均株価等の下落により国内株式の含み益が減少したもののオルタナティブへの投資を継続したことから、残高は前年度末比で横ばいの11兆1125億円となり、総資産比の占率は18.7%と前年度末比0.3ポイント上昇した。国内の公社債については、安定的な収益が確保できる資産として長期債と超長期債を中心に運用を行ったが、償還等により残高は減少。貸付金には、郵政管理・支援機構への貸付、シンジケート・ローン、地方公共団体貸付、保険約款貸付を実施しており、郵政管理・支援機構への貸付金の償還により残高は減少した。
資産運用収益については、有価証券売却益や利息及び配当金等収入が減少したことから、前期比171億円減の1兆1956億円となった。資産運用費用については、主に金融派生商品費用の減少等により同34億円減の2790億円。その結果、資産運用収支は同136億円減少し9165億円となった。
順ざや・利回りの状況は、順ざやが前期比507億円増の1425億円で、平均予定利率が前期比0.05ポイント低下し1.61%、利子利回りが同0.07ポイント上昇し1.91%だった。デュレーションは資産が9.6年、負債が10.9年となり、デュレーションギャップは前年度末比でやや縮小した。
25年度(26年3月期)の連結業績予想では、当期純利益は、①保険関係損益の増加②ヘッジコスト考慮前の順ざやの増加③投資信託の解約益の減少―等により、24年度比で125億円増の1360億円を予想。当期純利益に責任準備金とのれん償却額による調整を実施した25年度の修正利益は、引き続き好調な順ざやを見込み、前期と同程度の1420億円を予想。これに伴い1株当たり配当は20円増配し、年間124円(配当性向32.5%)を予想する。なお、総還元性向(単年度)について55%程度をめどとして株主還元を実施する予定。かんぽ生命単体の基礎利益は3200億円程度、うち順ざやが2000億円程度と見込む。
住友生命では、アクチュアリーコース採用を行っており、入社後にはまず主計部または年金事業部に配属になる。主計部には四つの所属があり、主計室では決算、予算編成、将来収支予測、数理室では保険料率設定(プライシング)、配当方針策定、保険引受リスク管理、収益情報室ではエンベディッド・バリューの算出、保険数理システム開発、国際保険計理室では経済価値規制・国際会計基準への対応などを行っている。年金事業部では企業年金の制度設計・掛金計算、退職給付債務の計算などを行う。主計部長代理の徳山祐也(とくやま・ゆうや)氏に具体的な業務について聞いた。
――アクチュアリーの活躍する部門は。
徳山 主計部、年金事業部にて、一定の経験を積んだのちに、さまざまな部署へ異動となり、アクチュアリーとして専門性を発揮して活躍している。具体的には、商品部では新商品の企画・開発、調査広報部では保険計理関連規制への対応、商品認可折衝・申請、企画部では経営計画策定、ERM推進、資本調達・格付への対応、運用企画部では資産運用計画策定、新商品の運用収支管理、リスク管理統括部ではリスク管理全般の企画、リスクの統合的な把握・管理、情報システム部やVitality戦略部ではデータ分析・活用策の企画・推進―などを担当している。そのほか、国内生保子会社の主計部や商品企画部等で同様の業務を行うこ
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