生保各社24年度決算 保険料等収入は43兆円でほぼ横ばい 新契約年換算保険料2.6%増2兆5659億円に
生保各社の2024年度(25年度3月期)決算がまとまった。個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料は、全社計で前年比2.6%増の2兆5659億円(生保協会集計:本紙6月30日掲載)で終わった。保険料等収入(生保協会集計)は、同0.1%増の43兆0267億円とほぼ横ばいでゴール。個人保険・個人年金保険計の保有契約年換算保険料(生保協会集計)は、同0.2%増の28兆2848億円とわずかに前年実績を上回った。基礎利益は当期1000億円以上を計上したところが12社で、このうち8社が前年実績を上回っている。25年度から経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)が採用されるため、各社で24年度末のESRを公表している。(本日4~6面に生保協会会員各社の業績詳細(本紙調査)を掲載)
日本生命グループの保険料等収入とその他経常収益の合計を示す保険・サービス収益は、ニチイホールディングスを新たに連結対象とした一方で、保険料等収入が前年比8.6%減の7兆8613億円と減少したため、同5.6%減の8兆3895億円となった。基礎利益は同32.3%増の大幅増益となり、1兆0109億円と1兆円の大台に乗った。国内の個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同5.7%減の4927億円だった。25年度通期のグループ業績見通しは、保険・サービス収益は減収、基礎利益はグループ事業展開に伴う海外保険領域の拡大を主因に増益と、減収・増益を見込む。24年度のグループのESRは222%だった。
かんぽ生命の連結保険料等収入は前年比6708億円増の3兆1548億円だった。連結当期純利益は同364億円(41.8%)増の1234億円で、修正利益は同481億円(49.3%)増の1457億円と大幅に増加した。かんぽ生命単体の基礎利益は同181億円増の2421億円となった。個人保険の新契約年換算保険料は同49.9%増と増加が継続している。25年度の連結業績予想については、当期純利益1360億円(前年比10.1%増)、修正利益1420億円程度と見込む。
明治安田生命グループのグループ保険料は、前年比2.2%増の3兆4172億円で740億円の増益決算となった。親会社に帰属する当期純剰余は同0.0%減の1535億円だった。グループ基礎利益は同11.6%増の6264億円だった。このうち、明治安田生命単体が同11.3%増の5554億円、海外保険事業等が同36.6%増の1248億円だった。新契約年換算保険料は、営業職員チャネルでは前年を下回るものの、銀行窓販チャネルでの外貨建一時払保険の販売量増加により同1.9%減の1261億円。25年度については、グループ保険料(除く再保険収入)は「増収」、グループ基礎利益は「減益」を見込む。グループの24年度末ESRは216%だった。
住友生命グループの保険料等収入は前年比27.7%増の3兆3753億円で、当期純剰余金は同19.6%増の860億円となった。グループの基礎利益は開示以来過去最高の同24.3%増の3798億円となった。グループの新契約年換算保険料は、住友生命が前年比11.0%の減収だったものの、メディケア生命が同9.5%の増収、海外事業(シメトラ、シングライフ)が同48.8%の増収となった結果、グループでは同26.4%増の4099億円となった。25年度のグループ業績予想は、保険料等収入が横ばいの3兆3700億円程度、基礎利益は減少の3500億円程度と見込む。グループの24年度末ESRは178%だった。
第一生命ホールディングスは、国内は第一生命で順ざやが大幅に改善、第一フロンティア生命で大幅増益となったほか、米プロテクティブ、豪TALともに順調で円安効果もあり、グループ修正利益は前期比38%増の4395億円を計上した。連結の当期純利益は同33.9%増の4296億円。グループ基礎利益は同22%増の6388億円となった。グループの新契約年換算保険料は同8.0%増の5464億円で、国内では、第一フロンティア生命が昨年の反動で減少し、国内4社(第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命ほか)計で同8.7%減の3457億円。25年度末の連結業績予想は、グループ修正利益は前年比7%減の4100億円を見込む。同当期純利益は同19.2%減の3470億円、グループ連結の基礎利益は同14%減の5500億円程度を見込む。グループの24年度末ESRは210%だった。
ソニー生命の保険料等収入は前年比9.6%増の1兆9105億円で、当期純利益は同328.5%増の581億円となった。基礎利益は同38.1%減の1151億円となった。新契約年換算保険料は同12.6%増の1808億円だった。25年度は修正純利益940億円を目指す。24年度末のソニーFGのESRは189%だった。
メットライフ生命の保険料等収入は前年比12.4%減の2兆8253億円、このうち保険料は同16.5%減の2兆2106億円だった。当期純利益は同31.2%減の1045億円となった。基礎利益は同7.4%減の2725億円。新契約年換算保険料(個人保険・個人年金保険合計)は同2.1%減で1374億円だった。
アフラックは保険料等収入が前年比2.4%増の1兆3265億円を計上した。当期純利益は同5.4%減の4029億円。基礎利益は同2.7%減の4411億円だった。新契約年換算保険料は同0.1%減の546億円。
プルデンシャル・グループ4社(プルデンシャルHD、プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)の連結保険料等収入は前年比2.5%増の3兆7662億円だった。親会社株主に帰属する当期純利益は同8.5%減の1427億円。生命保険会社3社合算の基礎利益は同15.3%減の2077億円だった。生保3社合算の新契約年換算保険料(個人保険+個人年金保険合計)は同13.6%増の1902億円だった。
アクサ生命の保険料等収入は前年比20.4%増の1兆0699億円だった。基礎利益は同42.5%増の1146億円、当期純利益は同24.9%増の715億円だった。新契約年換算保険料(個人保険+個人年金保険)は同18.8%増の1081億円となった。
T&D保険グループの保険料等収入は一時払商品の販売増加等により前年比4.3%増の2兆5798億円だった。親会社株主に帰属する当期純利益は同28.0%増の1264億円、グループ修正利益は同36.7%増の1415億円で、グループ修正利益は過去最高を更新した。国内3社(太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命)合算の新契約年換算保険料は前年比7.5%増の2132億円。グループの25年度の通期業績予想は、親会社株主に帰属する当期純利益は6.7%減の1180億円、グループ修正利益は45億円増の1460億円を見込む。グループの24年度末ESRは243%だった。
フコク生命グループでは、富国生命、フコクしんらい生命2社合算の保険料等収入は前年比1.8%増の7721億円、基礎利益は同15.4%増の1148億円で増収増益となった。新契約年換算保険料は同12.3%増。25年度の業績見通しについては、保険料等収入は、2社合算で「横ばい」を見込む。基礎利益は、2社合算で「減少」を見込む。グループの24年度末ESRは247.2%だった。
朝日生命グループ(朝日生命、なないろ生命)の保険料等収入は前年比7.6%増の4652億円となった。親会社に帰属する当期純剰余は同6億円減の51億円だった。グループ基礎利益は同50.3%増の458億円。グループ連結の新契約年換算保険料は同6.3%増の389億円。そのうち、朝日生命は同2.4%増の196億円、なないろ生命は同10.6%増の193億円。グループの24年度末ESRは257.6%だった。
フィッチ・レーティングス(フィッチ)は、6月11日にスペシャルレポート「日本の生命保険会社の資本基盤及び利益は2025年度も堅調を維持」を公表した。フィッチは同レポートで、「26年3月期(25年度)において、日本の生命保険会社各社のファンダメンタルズは堅固な状態にとどまるだろう」との見方を示した。
フィッチは、中核資本の蓄積を主因として、日本の生保各社が26年3月期(25年度)も引き続き堅固な資本基盤を維持すると予想している。日本の会計基準では円建て負債と債券は償却原価を用いた簿価で認識されることもあり、日本国債の利回りの変動がもたらす直接的な影響はごくわずかとフィッチは予想している。
フィッチは、生保各社が好調な収益性を維持すると予想している。24年度の各社合算の基礎利益は2兆5170億円(前年比21%増)に増加した。利差益も着実に増加し、7870億円(同8%増)となった。
▽アウトルックは「中立的」
今後12カ月~24カ月の間、主要信用力指標は底堅く推移し、格付は安定的に推移するというフィッチの予想を反映し、日本の生保セクターのアウトルックは引き続き「中立的」としている。この見解は、米国のクレジット市場など世界の金融市場にストレスをもたらす要因と、それらが日本の生保の信用力に及ぼす直接的・間接的な
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