日本生命 団体年金で有期予定利率を導入、予定利率+上乗せ利率+配当の3階建てに 毎年6年保証で実質的大幅引上げを実現
日本生命は3月27日、団体年金保険一般勘定(以下、GA)の商品内容を2026年4月1日から改定すると発表した。上乗せ利率(有期の予定利率)を新設し、従来の予定利率+配当の2階建てから予定利率+上乗せ利率+配当の3階建ての仕組みに変更する。上乗せ利率は6年分の上乗せ利率を毎年設定・公表するもので、毎年6年間の保証を実現する業界初(同社による)の仕組み。実質的には有期での予定利率の大幅な引上げとなり、愛称を「プレミア6」としている。
GAは生保各社が受託・運用する企業年金商品。債券等と異なり、金利上昇による価格下落(キャピタル損)がなく、利率が保証されている生命保険会社ならではの独自商品であり、従前より企業年金顧客のコア資産の一つとして長期・安定的に年金運用を下支えしてきた。全体で約13.0兆円の残高があり、確定給付企業年金(DB)制度を採用している約1万1000社全体の残高約65.3兆円に対して一定のウエートを占めており、そのうち日本生命のGA採用団体は約5000団体、残高は約6.1兆円(業界第1位)となっているという。これまでの好調な運用実績を受けて資産が積み上がっており、リスクを抑えた運用を志向する先が増えている。また、金利上昇による債券価値の下落、関税問題や地政学リスクの高まり等を受けた株価の乱高下等、運用環境の不透明感が高まっており、安定運用のニーズが増している状況だという。
日本生命では、「従業員の退職金制度を担う企業年金の重要性は、人的資本経営の観点から年々高まり、政府が『成長と分配の好循環』の実現を目指す中、アセットオーナーである企業年金からの運用機関や運用商品に対する期待もこれまで以上に大きくなっている。当社のGAについては、低金利環境下で23年4月に予定利率を0.5%に引き下げる中、一般勘定プラスにて、新たな引受けを実施。これまで予定利率に加え、配当で還元することを通じ安定運用ニーズに対応してきたが、金利上昇局面においてこれまで以上に、将来利回りの予見可能性についてのニーズも高まってきているものと認識しており、こうした背景から、企業年金の顧客ニーズに応えるため今回の商品スキーム改定を実施する」としている。今回の商品改定は02年の現行商品発売から24年間で初となるとのこと。
今回の改定による上乗せ利率(有期の予定利率)の水準は、ニッセイ一般勘定プラスの場合0.50%から、26~28年度1.45%、29~31年度1.25%としている。従前からの魅力である利率保証に加え、毎年6年保証の実現による実質的な予定利率の引上げを通じて、商品改定後10年間で1兆円を超える残高の積み上げを目指す方針だ。また、これにより契約者は予見可能な将来利回りが向上し、将来に向けた年金運用の見通しが立てやすくなるという。
商品改定に伴う変更は、既契約も含めて一律で自動的に適用するとしており、既契約の顧客による申込手続きは不要。対象商品は、確定給付企業年金保険、ニッセイ一般勘定プラス(確定給付企業年金保険一般勘定特約(2022))、厚生年金基金保険(H14)、新企業年金保険(H14)となる。
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